专利摘要:
本発明は、少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含有するタンパク質担体を含むタンパク質担体と;タンパク質担体と連結した、少なくとも1つの病原性細菌に由来する少なくとも1つの抗原性多糖と;任意選択によりアジュバントとを含む、O1バイオコンジュゲートワクチンなどのバイオコンジュゲートワクチンに関する。別の態様では、本発明は、複数の工程を含む、バイオリアクター内でO1バイオコンジュゲートを生成させる方法に関する。
公开号:JP2011514155A
申请号:JP2010547265
申请日:2009-02-19
公开日:2011-05-06
发明作者:ウェッター,マイケル;コワリク,マイケル;フェルナンデス,ファビアナ;ワッカー,マイケル
申请人:グリコヴァキシン アーゲー;
IPC主号:C12N15-09
专利说明:

[0001] 本発明は、組換え糖タンパク質、すなわちN−グリコシル化タンパク質から作製した、バイオコンジュゲート、具体的にはバイオコンジュゲートワクチンに関する。本発明は、最適化されたアミノ酸コンセンサス配列(複数可)を有する、1つまたは複数の導入されたN−グリコシル化タンパク質、これらのタンパク質をコードする核酸、ならびに対応するベクターおよび宿主細胞を含む。さらに、本発明は、バイオコンジュゲートワクチンを調製するための、前記タンパク質、核酸、ベクターおよび宿主細胞の使用に関する。さらに、本発明は、バイオコンジュゲートワクチンを生成する方法を提供する。]
背景技術

[0002] 糖タンパク質とは、1つまたは複数の共有結合した糖ポリマーを有するタンパク質である。N結合タンパク質グリコシル化とは、真核生物の小胞体中で起こる、必須かつ保存的なプロセスである。これは、タンパク質の折り畳み、オリゴマー形成、安定性、品質管理、分泌および膜タンパク質の分別および輸送に重要である(Helenius, A.、およびAebi, M.(2004)、Roles of N-linked glycans in the endoplasmic reticulum、Annu. Rev. Biochem. 73、1019-1049)。]
[0003] タンパク質グリコシル化は、タンパク質の抗原性、安定性および半減期に絶大な影響を与える。さらに、グリコシル化は、クロマトグラフィー、たとえば、タンパク質のグリコシル化された部分と相互作用する固相に結合したレクチンリガンドを用いたアフィニティークロマトグラフィーによる、タンパク質の精製に役立てることができる。したがって、生物学的および製薬的に有用なグリコシル化パターンを提供するために、多くのグリコシル化されたタンパク質を真核細胞中で組換えによって産生する実務が確立されている。]
[0004] 細菌である食品媒介性の病原体カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)も、そのタンパク質をN−グリコシル化できることが実証されている(Szymanski他(1999)、Evidence for a system of general protein glycosylation in Campylobacter jejuni、Mol. Microbiol. 32、1022-1030)。グリコシル化に必要な機構は、いわゆるpgl座位でクラスター化されている12個の遺伝子によってコードされている。N−グリコシル化の破壊はシー・ジェジュニ(C. jejuni)の侵襲性および病原性に影響を与えるが、ほとんどの真核生物におけるように致死的ではない(Burda P.およびM.Aebi、(1999)、The dolichol pathway of N-linked glycosylation、Biochim Biophys Acta 1426(2):239-57)。大腸菌中でpgl座位およびアクセプター糖タンパク質を同時に組換え発現させることによって、シー・ジェジュニのタンパク質のN−グリコシル化を再構成することが可能である(Wacker他(2002)、N-linked glycosylation in Campylobacter jejuni and its functional transfer into E. coli、Science 298、1790-1793)。]
[0005] 下痢性疾患は、頻度および経済的影響の観点から、海外旅行に関連する大きな健康上の問題である。旅行者下痢症とは、人が先進国から発展途上国に旅行する際に獲得する腸の病気をいう。現在、5千万人を超える人が毎年先進国から発展途上国に旅行し、これらの旅行者のうちの50%までが、その滞在期間の週のうちの最初の2週間の間に、下痢を患うことが報告されている。現地の社会基盤を改善するための観光業界の努力にもかかわらず、1970年代以降、旅行者下痢症の発生率に顕著な低下はない。]
[0006] 旅行者下痢症は、糞便によって汚染された食品、および一般的ではないが水の摂取によって獲得される。細菌が旅行者下痢症の主な原因であり、感染症の80%までの原因となっている。腸内毒素原性大腸菌(Enterotoxigenic E. coli)(ETEC)が、全世界中どこでも、旅行者下痢症に関連して最も頻繁に単離される細菌であり、赤痢菌属種(Shigella spp.)およびシー・ジェジュニがそれに続く。]
[0007] 細菌性赤痢は、依然として重篤かつ一般的な疾患である。水様下痢を引き起こすことに加えて、赤痢菌は、赤痢(発熱、筋痙攣、ならびに糞便中の血液および/または粘液)の主要な原因である。人間がこの細菌の唯一の天然宿主である。赤痢菌感染症の推定数は、毎年2億件を超える。この症例のうちの約5百万件は入院を必要とし、百万人が死亡する。志賀赤痢菌(S.dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri)およびソンネ赤痢菌(S.sonnei)の3つの血清型が、細菌性赤痢として説明される疾患のほとんどの原因となっている。]
[0008] 志賀赤痢菌およびフレクスナー赤痢菌が熱帯地域におけるほとんどの感染症の原因となっており、致死率は20%までとなっている。細菌性赤痢は、風土性および流行病の両方として発生する。多くの熱帯国では、風土性の感染症はフレクスナー赤痢菌が主な原因である一方で、重大な志賀赤痢菌の流行病が中央アメリカ、中央アフリカおよび東南アジアで発生している。これらの流行病は、重大な公衆衛生上の危険である。主にソンネ赤痢菌、およびそれほど頻繁ではないがフレクスナー赤痢菌が原因の感染症は、工業国において発生し続けている。]
発明が解決しようとする課題

[0009] コンジュゲートワクチンが、赤痢菌感染症に対して有望な結果を示している。1型志賀赤痢菌のO特異的多糖を用いてコンジュゲートワクチンが合成されており、これは、マウスにおいて免疫応答を誘発させた。そのようなワクチンは、化学合成してヒト血清アルブミンとコンジュゲートさせるか、またはO多糖を赤痢菌から精製して開発された。また、ソンネ赤痢菌およびフレクスナー赤痢菌のO特異的多糖は、緑膿菌外毒素とも化学的にコンジュゲートされており、これはマウスにおいて顕著な免疫応答を誘発させた。さらに、これらは、ヒトにおいて免疫原性でかつ安全であることが示されている。しかし、化学的コンジュゲーションは、必ずしも信頼できる、再現性のあるワクチンをもたらさない、高価かつ時間のかかるプロセスである。これは、商業的スケールでそのようなバイオコンジュゲートワクチンを開発しようとする場合に、GMP(good manufacturing practice)の問題をもたらす。]
課題を解決するための手段

[0010] 一態様では、本発明は、挿入されたコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含むタンパク質担体と;タンパク質担体と連結した、少なくとも1つの細菌に由来する少なくとも1つの抗原性多糖であって、赤痢菌(Shigella)、大腸菌(E.coli)または緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の1つまたは複数の株に由来する少なくとも1つの細菌O抗原である、少なくとも1つの抗原性多糖と;任意選択によりアジュバントとを含む、バイオコンジュゲートワクチンに関する。]
[0011] 別の態様では、本発明は、少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含有するように改変されている緑膿菌外毒素(EPA)を含むタンパク質担体と;タンパク質担体と連結しており、以下の構造を有する、少なくとも1つの糖鎖と:]
[0012] ;任意選択によりアジュバントとを含む、赤痢菌バイオコンジュゲートワクチンに関する。]
[0013] さらに別の態様では、本発明は、配列番号7に示す配列を有するタンパク質担体と;タンパク質担体と連結しており、以下の構造を有する、少なくとも1つの糖鎖と:]
[0014] ;アジュバントとを含む、志賀赤痢菌O1バイオコンジュゲートワクチンに関する。]
[0015] さらに追加の態様では、本発明は、配列番号5を含むプラスミド;配列番号5を含む遺伝子配列;配列番号6を含むアミノ酸配列;配列番号7を含むアミノ酸配列;またはベクターpGVXN64に関する。]
[0016] 別の態様では、本発明は、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST/OTase)をコードするヌクレオチド配列と;タンパク質担体をコードするヌクレオチド配列と;抗原性多糖が細菌O抗原である、少なくとも1つの細菌に由来する少なくとも1つの抗原性多糖合成遺伝子クラスターとを含む、少なくとも1つの細菌に対するバイオコンジュゲートワクチンを生成するための発現系に関する。]
[0017] さらに別の態様では、本発明は、配列番号2を有するPgIBをコードするヌクレオチド配列と;配列番号6を有する改変されたEPAをコードするヌクレオチド配列と;配列番号5を含む多糖合成遺伝子クラスターとを含む、志賀赤痢菌O1に対するバイオコンジュゲートワクチンを生成するための発現系に関する。]
[0018] さらに別の態様では、本発明は、細菌中で、少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含む改変されたEPA、またはAcrA;PgIB;および1つまたは複数のO1多糖を発現させる工程と;細菌を一定期間成長させて、一定量の、1つ又は複数のO1多糖と連結したAcrAまたは改変されたEPAを含むO1バイオコンジュゲートを生成させる工程と;ペリプラズムタンパク質を抽出する工程と;抽出したペリプラズムタンパク質からO1バイオコンジュゲートを分離する工程とを含む、バイオリアクター内でO1バイオコンジュゲートを生成させる方法を企図する。]
[0019] さらなる態様では、本発明は、グリコシルトランスフェラーゼを使用することによって、組換え生物中で志賀赤痢菌の多糖をアセンブルさせる工程と;前記組換え生物中で、前記多糖を、1つまたは複数のT細胞エピトープを含有する1つまたは複数の標的タンパク質のアスパラギン残基と連結させる工程とを含む、志賀赤痢菌バイオコンジュゲートワクチンを生成する方法を企図する。]
[0020] さらなる態様では、本発明は、標的タンパク質のN−グリコシル化を実施する代謝装置をコードする遺伝情報を、原核生物内に導入して、改変された原核生物を生成する工程であって、1つまたは複数の組換え標的タンパク質の発現に必要な遺伝情報が、前記原核生物内に導入され、代謝装置が、志賀赤痢菌の多糖を脂質担体上でアセンブルするための特異的グリコシルトランスフェラーゼおよびオリゴサッカリルトランスフェラーゼを含み、オリゴサッカリルトランスフェラーゼが、多糖を標的タンパク質のアスパラギン残基と共有結合させ、標的タンパク質が、少なくとも1つのT細胞エピトープを含有する工程と;改変された原核生物の培養物を生成する工程と;グリコシル化されたタンパク質を培地から得る工程とを含む、志賀赤痢菌バイオコンジュゲートワクチンを生成する方法を企図する。]
図面の簡単な説明

[0021] コンストラクトA〜Cに由来するLipタンパク質のN−グリコシル化を示す図である(実施例1を参照)。シー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロン(Wacker他、2002、上記)ならびにコンストラクトA(レーン2)、B(レーン1)、およびC(レーン3)または突然変異D121Aを有するコンストラクトCの突然変異体(レーン4)をコードするプラスミドを保有する、大腸菌Top10細胞である。タンパク質を発現させ、ペリプラズム抽出物から精製した。精製したタンパク質画分のSDS−PAGEおよびクマシーブリリアントブルー染色を示す。
プラスミドから様々なタンパク質を発現するCLM24細胞(Feldman他、(2005)、Engineering N-linked protein glycosylation with diverse O antigen lipopolysaccharide structures in Escherichia coli、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102、3016-3021)またはTop10細胞(パネルE、レーン1〜6)またはSCM7細胞(Alaimo, C、Catrein, I.、Morf, L.、Marolda, C.L.、Callewaert, N.、Valvano, M.A.、Feldman, M.F.、Aebi, M.(2006)、Two distinct but interchangeable mechanisms for flippingof lipid-linked oligosaccharides、EMBO Journal 25、967-976)(パネルE、レーン7、8)における、シー・ジェジュニのpglオペロンによる配列特異的N−グリコシル化(Wacker他、2002、上記)について分析した、前記タンパク質のN−グリコシル化分析を示す図である。ニトロセルロース膜に移し、特異的抗血清で可視化した、SDS−PAGEで分離したペリプラズム抽出物を示す。パネルA〜Dでは、上部パネルは、抗AcrA抗血清をプローブとしたイムノブロットを示し(Wacker他 2002、上記; Nita-Lazar, M.、Wacker, M.、Schegg, B.、Amber, S.、and Aebi, M.(2005)、The N-X-S/T consensus sequence is required but not sufficient for bacterial N-linked protein glycosylation、Glycobiology 15、361-367)、下部パネルは、R12抗血清をプローブとしたイムノブロットを示す(Wacker他、2002、上記)。+および−は、細胞中の機能的または突然変異体のpglオペロンの存在を示す。パネルAは、pelBシグナル配列及びヘキサhisタグを有する可溶性の野生型AcrA(レーン1、2)、AcrA−N273Q(レーン3、4)、およびAcrA−D121A(レーン5)の試料を含有する。パネルBは、AcrA(レーン1、2)、AcrA−T145D(レーン3)、AcrA−N123Q−N273Q−T145D(レーン4、5)である。パネルCは、AcrA−F115D−T145D(レーン1、2)、AcrA−N123Q−N273Q−N272D(レーン3、4)である。パネルDは、AcrA−N273Q(レーン1、2)、AcrA−N273Q−F122P(レーン3、4)である。パネルEは、CtxB(レーン1、2)、CtxB−W88D(レーン3、4)、CtxB−Q56/DSNIT(レーン5、6)、およびCtxB−W88D−Q56/DSNITである。
OmpH1中の複数のグリコシル化部位の改変を示す図である。ΔwaaL株SCM6を、プラスミドpACYCpgl(pgl座位全体をコードする)と、野生型OmpH1(レーン1)、OmpH1N139S−myc(レーン2)、OmpH1KGN→NIT、HFGDD→DSNIT−myc(レーン3)、QmpH1RGD→NIT、HFGDD→DSNIT−myc(レーン4)、OmpH1KGN→NIT、RGD→NIT−myc(レーン5)KGN−NIT、RGD→N、T.HFGDD→DSNIT−myc(レーン6)またはOmpH1RGD→NIT、V83T−myc(レーン7)と、を発現するプラスミドで共形質転換させた。細胞を好気的に成長させ、アラビノース0.5%で3時間誘導した後に分析した。材料および方法のセクションに記載のように培養物の光学密度を同等化した後、全細胞溶解液をTCA沈殿させた。タンパク質を15%のSDS−PAGEによって分離し、PVDF膜上に移した。最初のパネルは、抗mycタグ抗体をプローブとした全細胞溶解液のイムノブロットである。下部パネルは、グリカンに特異的な抗血清をプローブとした全細胞溶解液のイムノブロットである。グリコシル化されていないおよびグリコシル化されたOmpH1の位置を、右側に示す。
様々なOmpH1変異体を発現する細胞の蛍光顕微鏡観察を示す図である。蛍光顕微鏡観察は、Axioplan2顕微鏡(Carl Zeiss)を用いることによって行った。Adobe Photoshop、バージョンCS2を用いることによって画像を組み合わせた。OmpH1(パネルA)、OmpH1N139S(パネルB)、OmpH1C20S(パネルC)、OmpH1KGN→NIT、HFGDD→DSNIT(パネルD)、OmpH1RGD→NIT、HFGDD→DSNIT(パネルE)、OmpH1KGN→NIT RGD→NIT(パネルF)、OmpH1V83T、KGN→NIT(パネルG)、およびOmpH1KGN→NIT、RGD→NIT、HFGDD→DSNIT(パネルH)を発現するSCM6細胞である。最初の列は、黒色背景に灰色の色調で表した、列2、3、および4の写真を合併したものである。列2は、DAPI染色からの青色蛍光を灰色の色調で示し、列3は、グリカンに特異的な蛍光からの緑色蛍光であり、列4は、抗myc染色からの赤色蛍光である。
グラム陽性およびグラム陰性細菌中の莢膜多糖およびリポ多糖を示す模式図である。
PgIBおよびEPAが組み込まれたゲノムDNA、及び多糖合成遺伝子クラスターをコードする、代替可能な(すなわち交換可能な)プラスミドDNAを示す図である。
本発明の技術を用いてコンジュゲートワクチンを生成するプロセスを示す図である。
志賀赤痢菌O1抗原発現プラスミドpGVXN64の構築を示す図である。
本発明で利用したタンパク質グリコシル化経路を示す模式図である。
本発明で利用したタンパク質グリコシル化経路を示す模式図である。
本発明のバイオコンジュゲート生成の発現プラットフォームを表す模式図である。
本発明のバイオコンジュゲート生成の発現プラットフォームを表す模式図である。
赤痢菌バイオコンジュゲートの生成を示す図である。
ウンデカプレノールピロリン酸(UPP)上での志賀赤痢菌血清型O1のO抗原の多糖生合成を示す図である。
N−グリコシル化部位をその上に設計することができる、EPAなどの担体タンパク質を示す模式図である。
マウスにおいて赤痢菌O1多糖に対する免疫応答を誘発するバイオコンジュゲートを示す図である。
バイオリアクター内での赤痢菌O1−EPAバイオコンジュゲート(たとえばO1-EPA)の生成の結果を示す図である。
O1−EPAの精製を示す図である。
様々な条件下で採取した、LB振盪フラスコ中で生成した赤痢菌O1−AcrAバイオコンジュゲートの一連の検体のウエスタンブロット分析を示す図である。
赤痢菌の様々な血清型およびその抗原性(すなわち赤痢菌O抗原)を定義する多糖構造を提供する図である。
本発明の志賀赤痢菌血清型O1バイオコンジュゲートの一例の、1HNMRスペクトルのアノマー領域の拡大を示す図である。
バイオマス濃度(0.1OD600nmの細胞/レーン)に正規化した、赤痢菌O1バイオコンジュゲート(たとえばEPA-O1)のタンパク質試料を示す図である。
7.5%のSDS−PAGEに載せ、クマシーで染色して、EPAおよびEPA−O1を同定した、赤痢菌O1バイオコンジュゲートの生成プロセスからのペリプラズム抽出物を示す図である。
SDS−PAGEによって分析し、クマシーによって染色して、赤痢菌O1バイオコンジュゲートを同定した、1.Source Qからのタンパク質画分を示す図である。
SDS−PAGEで分析し、クマシーによって染色して、赤痢菌O1バイオコンジュゲートを同定した、2.Source Qカラムからのタンパク質画分を示す図である。
SDS−PAGEによって分析し、クマシーによって染色して、赤痢菌O1バイオコンジュゲートを同定した、Superdex 200カラムからのタンパク質画分を示す図である。
SDS−PAGEによって分析し、クマシーによって染色した、様々な精製工程からの赤痢菌バイオコンジュゲートを示す図である。]
[0022] 発明の序論
本発明は、多用途のin vivoグリコシル化プラットフォームを提供する。]
[0023] 欧州特許出願第03 702 276.1号(欧州特許1 481 057号)は、(i)脂質担体上でオリゴ糖をアセンブルさせるための特異的グリコシルトランスフェラーゼ、(ii)コンセンサス配列「N−X−S/T」[式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸であり得る]を含む組換え標的タンパク質、および(iii)前記オリゴ糖を標的タンパク質のコンセンサス配列と共有結合させる、シー・ジェジュニのオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)をコードする核酸を導入する、原核生物を教示している。前記原核生物は、特異的グリコシルトランスフェラーゼの種類によって定義される特定の構造を有するN−グリカンを産生する。]
[0024] タンパク質中の既知のN−グリコシル化コンセンサス配列は、原核生物において組換え標的タンパク質のN−グリコシル化を可能にし、シー・ジェジュニのオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)を含む。]
[0025] 本発明の目的は、タンパク質を提供すること、ならびに原核生物中、in vivoで産生させることができる、N−グリコシル化の最適化された効率を有するそのようなタンパク質を産生させる手段および方法を提供することである。本発明の別の目的は、前記タンパク質の抗原性、安定性、生物学的、予防的および/または治療的活性を改変させるために、N−グリカンを組換えタンパク質内により効率的に導入することを目標としている。さらなる目的は、本発明の組換えN−グリコシル化タンパク質をその表面上に効率的に表示する宿主細胞を提供することである。]
[0026] 第1の態様では、本発明は、N−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸配列(複数可)D/E−X−N−Z−S/T(最適化されたコンセンサス配列)[式中、XおよびZは、Pro以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を1つまたは複数含み、前記N−グリコシル化された部分的アミノ酸配列(複数可)のうちの少なくとも1つが導入されている、組換えN−グリコシル化タンパク質を提供する。]
[0027] 驚くべきことに、特定の部分的アミノ酸配列(複数可)(最適化されたコンセンサス配列(複数可))をタンパク質内に導入することにより、これらの導入位置において、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来するオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST、OTase)によって効率的にN−グリコシル化されたタンパク質がもたらされることが見出された。]
[0028] 本発明のコンテキスト中で使用する用語「部分的アミノ酸配列(複数可)」とは、「最適化されたコンセンサス配列(複数可)」または「コンセンサス配列(複数可)」ともいう。最適化されたコンセンサス配列は、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来するオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST、OTase)によって、従来技術で知られている通常のコンセンサス配列「N−X−S/T」よりもはるかに効率的にN−グリコシル化される。]
[0029] 一般に、用語「組換えN−グリコシル化タンパク質」とは、天然では前記タンパク質をコードする核酸を含まない宿主細胞中で産生させた、任意の異種ポリペプチドまたはオリゴペプチドをいう。本発明のコンテキストでは、この用語は、任意の宿主細胞、たとえば、真核または原核宿主細胞、好ましくは原核宿主細胞、たとえば、エシェリキア属種(Escherichia ssp.)、カンピロバクター属種(Campylobacter ssp.)、サルモネラ属種(Salmonella ssp.)、赤痢菌属種、ヘリコバクター属種(Helicobacter ssp.)、シュードモナス属種(Pseudomonas ssp.)、バチルス属種(Bacillus ssp.)、より好ましくは、大腸菌(Escherichia coli)、カンピロバクター・ジェジュニ、ネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)などの中で組換えによって産生させたタンパク質をいい、前記タンパク質をコードする核酸は、前記宿主細胞内に導入されており、コードされているタンパク質は、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来するOTaseによってN−グリコシル化され、前記トランスフェラーゼ酵素は、前記宿主細胞中に天然に存在するか、またはその内部に組換えによって導入される。]
[0030] アミノ酸の国際的に認識されている一文字の記号に従って、略記D、E、N、SおよびTは、それぞれアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、セリン、およびスレオニンを示す。本発明によるタンパク質は、最適化されたコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/Tの1つまたは複数が導入されており、N−グリコシル化されている点で、天然または従来技術のタンパク質とは異なる。したがって、本発明のタンパク質は、やはり最適化されたコンセンサス配列を含有するが、追加の(導入された)最適化されたコンセンサス配列を全く含まない、天然に存在するシー・ジェジュニのタンパク質とは異なる。]
[0031] 最適化されたコンセンサス配列の導入は、1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失および/または置換によって達成することができる。最適化されたコンセンサス配列を導入する目的の、1つまたは複数のアミノ酸の付加、欠失および/または置換は、固相支援化学ペプチド合成などの、当業者に周知の化学的合成戦略によって達成することができる。あるいは、より大きなポリペプチドに好ましい方法として、本発明のタンパク質は、標準の組換え技術によって調製することができる。]
[0032] 本発明のタンパク質は、高い効率で、かつカンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロンを含む任意の原核宿主中で産生させ得るという利点を有する。本発明の態様および実施形態を実施するための、カンピロバクター属種由来の好ましい代替OTaseは、カンピロバクター・コリ(Campylobacter coli)およびカンピロバクター・ラリ(Campylobacter lari)のものである(Szymanski, C.M.およびWren, B.W.(2005)、Protein glycosylation in bacterial mucosal pathogens、Nat. Rev. Microbiol. 3:225-237を参照)。機能的pglオペロンは、前記原核宿主がカンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニである場合は、天然に存在し得る。しかし、当分野で以前に実証されており、上述したように、pglオペロンは、細胞内に移行させ、前述の新しい細胞環境中で機能的に維持されることができる。]
[0033] 用語「カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロン」とは、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニの機能的オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)をコードする核酸のクラスター、および脂質担体上でオリゴ糖をアセンブルさせることができる1つまたは複数の特異的グリコシルトランスフェラーゼをいい、前記オリゴ糖は、OTaseによって、脂質担体から1つまたは複数の最適化されたアミノ酸配列D/E−X N−Z−S/Tを有する標的タンパク質へと移行させることができる。本発明のコンテキストにおける用語「カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロン」とは、必ずしも単一の転写単位としてのオペロンを指さないことを理解されたい。この用語は、単に、1つの宿主細胞内での組換えタンパク質のN−グリコシル化に、機能的構成要素の存在を必要とするだけである。これらの構成要素は、1つまたは複数の別々のmRNAとして転写されてもよく、一緒にまたは別々に調節され得る。たとえば、この用語には、1つの宿主細胞内のゲノムDNAおよびプラスミド(複数可)中に位置する機能的構成要素も包含される。効率の目的のためには、機能的pglオペロンのすべての構成要素が同時に調節および発現されることが好ましい。]
[0034] 機能的オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)のみがカンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来するべきであり、脂質担体上でオリゴ糖をアセンブルさせることができる1つまたは複数の特異的グリコシルトランスフェラーゼは、宿主細胞に由来するか、または組換えによって前記宿主細胞内に導入してよく、唯一の機能的制限は、前記グリコシルトランスフェラーゼによってアセンブルされるオリゴ糖が、OTaseによって脂質担体から1つまたは複数の最適化されたコンセンサス配列を有する標的タンパク質へと移行可能であることを、理解することが重要である。したがって、特異的グリコシルトランスフェラーゼを天然で含む宿主細胞の選択および/または前記宿主中に天然で存在する特異的グリコシルトランスフェラーゼの無能化、ならびに異種特異的グリコシルトランスフェラーゼの導入により、当業者が、本発明のタンパク質中の最適化されたN−グリコシル化コンセンサス部位と結合したN−グリカンを変動させることが可能となる。]
[0035] 上記の結果として、本発明は、本発明のタンパク質上のN−グリカンのパターンの個々の設計を提供する。したがって、タンパク質は、生物学的、製薬および精製上の必要性に適するように、そのN−グリカンパターンを個別化することができる。]
[0036] 好ましい実施形態では、本発明のタンパク質は、1つの前記N−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸配列を含み得るが、複数、好ましくは少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも5つを含んでいてもよい。]
[0037] 本発明のタンパク質における1つまたは複数のN−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸配列の存在は、その抗原性を増加すること、その安定性を増加すること、その生物活性に影響を与えること、その生物学的半減期を延長することおよび/またはその精製を単純にすることにおいて、利点となる場合がある。]
[0038] 最適化されたコンセンサス配列には、位置XおよびZにプロリン以外の任意のアミノ酸が含まれ得る。用語「任意のアミノ酸」には、最適化されたコンセンサス配列がOTaseによってN−グリコシル化されることを可能にしたままにする、一般的および稀な天然のアミノ酸、ならびに合成アミノ酸誘導体および類似体が包含されることを意味する。天然に存在する一般的および稀なアミノ酸がXおよびZに好ましい。XおよびZは、同一であるか、または異なっていてもよい。]
[0039] XおよびZは、本発明によるタンパク質中のそれぞれの最適化されたコンセンサス配列で異なり得ることに注意されたい。]
[0040] 最適化されたコンセンサス配列と結合したN−グリカンは、特異的グリコシルトランスフェラーゼ、およびOTaseによる移行のための、オリゴ糖を脂質担体上でアセンブルする際のその相互作用によって決定される。当業者は、所望の宿主細胞中に存在する特異的グリコシルトランスフェラーゼの種類および量を変動させることによって、N−グリカンを設計することができる。]
[0041] 本明細書中で、N−グリカンとは、N−グリコシド結合を介してタンパク質中のアスパラギン残基のε−アミド窒素と連結している、可変の組成の単糖、オリゴ糖または多糖と定義される。好ましくは、OTaseによって移行されるN−グリカンは、グラム陰性または陽性細菌の細胞質膜中に存在するウンデカプレノール−ピロリン酸脂質のアンカー上でアセンブルされる。これらは、O抗原、O多糖およびペプチドグリカンの合成に関与している(Bugg, T.D.、およびBrandish, P.E.(1994)、From peptidoglycan to glycoproteins: common features of lipid-linked oligosaccharide biosynthesis、FEMS Microbiol Lett 119、255-262; Valvano, M.A.(2003)、Export of O-specific lipopolysaccharide、Front Biosci 8、s452-471)。]
[0042] 好ましい実施形態では、本発明の組換えタンパク質は、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来するN−グリカン、O抗原へと移行されてグラム陰性細菌中でO多糖を形成するオリゴ糖および多糖に由来するN−グリカン、またはグラム陽性細菌、好ましくは、緑膿菌09、011、大腸菌07、09、016、0157および志賀赤痢菌O1に由来する莢膜多糖、ならびに、グリコシルトランスフェラーゼおよびエピメラーゼを挿入または欠失させて多糖構造に影響を与えることによって得られた、その操作された変異体の群から選択される、1つまたは複数のN−グリカンを含む。]
[0043] さらなる好ましい実施形態では、本発明の組換えタンパク質は、2つ以上の異なるN−グリカンを含む。]
[0044] たとえば、同じタンパク質上の異なるN−グリカンは、初期もしくは後期プロモーターを使用して、または個々の特異的グリコシルトランスフェラーゼのプロモーター活性を開始、サイレンシング、増強および/もしくは減少させる因子を導入して、特異的グリコシルトランスフェラーゼの発現のタイミングを制御することによって、調製することができる。その活性を支配する適切なプロモーターおよび因子は、当業者が日常的に入手可能である。]
[0045] 本発明の組換えタンパク質の入手源には、制限はない。好ましくは、前記タンパク質は、哺乳動物、細菌、ウイルス、真菌または植物のタンパク質に由来する。より好ましくは、タンパク質は、哺乳動物、最も好ましくはヒトのタンパク質に由来する。好ましくはワクチン中の活性構成要素として使用するための、本発明による抗原性組換えタンパク質を調製するためには、組換えタンパク質は、細菌、ウイルスまたは真菌のタンパク質に由来することが好ましい。]
[0046] さらなる好ましい実施形態では、本発明は、タンパク質および/またはN−グリカンのどちらかが、治療上および/または予防上活性のある、組換えタンパク質を提供する。少なくとも1つの最適化かつN−グリコシル化されたコンセンサス配列の導入は、タンパク質の治療的および/または予防的活性を修正するか、それを導入さえすることができる。より好ましい実施形態では、免疫原的に活性があるのは、タンパク質および/またはN−グリカンである。この場合、導入されたN−グリコシル化は、タンパク質の生物活性を修正する効果を有する、及び/若しくは新しい抗原性部位を導入する、ならびに/またはタンパク質をマスクして分解工程を逃れさせるおよび/もしくは半減期を増加させ得る。]
[0047] 本発明の組換えタンパク質は、宿主細胞、好ましくは細菌、より好ましくはグラム陰性細菌の外膜および/または表面に、効率的に標的化させることができる。表面ディスプレイおよび/または外膜局在化を支援するためには、本発明の組換えタンパク質が、前記組換えタンパク質を細菌、好ましくはグラム陰性細菌の外膜および/または細胞表面に標的化させることができる、少なくとも1つのポリペプチド配列をさらに含むことが好ましい。]
[0048] 好ましい実施形態では、本発明の組換えタンパク質は1つであり、前記標的化ポリペプチド配列は、II型シグナルペプチド(Paetzel, M.、Karla, A.、Strynadka, N.C.、およびDalbey, R.E. 2002、Signal peptidases、Chem Rev 102: 4549-4580)または外膜タンパク質から選択され(Wemerus, H.、およびStahl, S. 2004、Biotechnological applications for surface-engineered bacteria、Biotechnol Appl Biochem 40: 209-228に総説)、好ましくは、シー・ジェジュニに由来するOmpH1、シー・ジェジュニに由来するJIpA、大腸菌に由来する外膜タンパク質、好ましくは、OmpS、OmpC、OmpA、OprF、PhoE、LamB、Lpp’OmpA(表面ディスプレイ技術用の融合タンパク質、Francisco, JA1 Earhart, C.F.、およびGeorgiou, G. 1992。大腸菌の外部表面へのβ-ラクタマーゼの輸送および固定(Transport and anchoring of beta-lactamase to the external surface of Escherichia coli)。Proc Natl Acad Sci U S A 89: 2713- 2717を参照)、および緑膿菌に由来するlnpタンパク質の、完全長タンパク質またはシグナルペプチドからなる群から選択される。]
[0049] 異なる態様では、本発明は、本発明による組換えタンパク質をコードする核酸に関する。好ましくは、前記核酸は、mRNA、DNAまたはPNA、より好ましくはmRNAまたはDNA、最も好ましくはDNAである。核酸は、前記タンパク質をコードする配列、ならびに、さらに、調節配列、たとえば、プロモーター、エンハンサー、ストップコドン、開始コドンおよび言及した調節配列によって組換えタンパク質の発現を調節するために必要な遺伝子などの他の配列などを含み得る。用語「本発明による組換えタンパク質をコードする核酸」とは、前記コード配列、および、任意選択により、核酸がカンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロンを含有する宿主細胞中で本発明の組換えタンパク質を産生させることができる限りは配列情報にかかわらず、任意のさらなる核酸配列を含む核酸に関する。より好ましくは、本発明は、プロモーターと作動可能に連結した、好ましくは、既知の誘導性および構成的な原核プロモーター、より好ましくは、テトラサイクリンプロモーター、アラビノースプロモーター、サリチレートプロモーター、lac−、trc−、およびtacプロモーターからなるからなる群から選択されるプロモーターと連結した、単離および精製した核酸を提供する(Baneyx, F.(1999)、Recombinant protein expression in Escherichia coli、Curr Opin Biotechnol 10、411-421; Billman-Jacobe, H.(1996)、Expression in bacteriaotherthan Escherichia coli、Curr Opin Biotechnol 7、500-504)。前記作動可能に連結した核酸は、たとえばワクチン接種に使用することができる。]
[0050] さらに、本発明の別の態様は、本発明による核酸および/またはベクターを含む宿主細胞に関する。宿主細胞の種類は、シー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロンおよび本発明の組換え標的タンパク質をコードする1つまたは複数の核酸を収容している限りは限定されない。好ましい宿主細胞は、原核宿主細胞、より好ましくは細菌、最も好ましくは、エシェリキア属種、カンピロバクター属種、サルモネラ属種、赤痢菌属種、ヘリコバクター属種、シュードモナス属種、バチルス属種、好ましくは大腸菌、より好ましくは、大腸菌株Top10、W3110、CLM24、BL21、SCM6およびSCM7(Feldman他、(2005)、Engineering N-linked protein glycosylation with diverse O antigen lipopolysaccharide structures in Escherichia coli、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 102、3016-3021; Alaimo, C、Catrein, I.、Morf, L.、Marolda, C.L.、Callewaert, N.、Valvano, M.A.、Feldman, M.F.、Aebi, M.(2006)、Two distinct but interchangeable mechanisms for flippingof lipid-linked oligosaccharides、EMBO Journal 25、967-976)、ならびにサルモネラ菌株SL3261(サルモネラ菌sv.ネズミチフス菌LT2(Δ)aroA、Hoiseth, S.K.、およびStocker, B.A. 1981、Aromatic-dependent Salmonella typhimurium are non-virulent and effective as live vaccines、Nature 291 :238-239を参照)、SL3749(サルモネラ菌sv.ネズミチフス菌LT2 waaL、Kaniuk他、J. Biol. Chem. 279: 36470-36480を参照)およびSL3261ΔwaaLからなる群から選択されるものである。]
[0051] より好ましい実施形態では、本発明による宿主細胞は、本発明による組換えタンパク質の外膜および/または表面ディスプレイの標的化に有用なもの、好ましくは、前記宿主細胞が:
i)
a)脂質担体上でオリゴ糖をアセンブルさせるための、少なくとも1つの天然または組換えの特異的グリコシルトランスフェラーゼ、
b)カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する、少なくとも1つの天然または組換えの原核オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)、
c)本発明による少なくとも1つの組換えタンパク質、好ましくは標的化ポリペプチドをさらに含むタンパク質
をコードするヌクレオチド配列を含む遺伝子型、ならびに
ii)グラム陰性細菌の外膜中および/または外膜上に位置する、本発明による組換えN−グリコシル化タンパク質を含む表現型
を有する組換えグラム陰性細菌であるものである。]
[0052] 上記実施形態の宿主細胞は、好ましくは、エシェリキア属種、カンピロバクター属種、赤痢菌属種、ヘリコバクター属種およびシュードモナス属種、サルモネラ属種、好ましくは大腸菌、より好ましくは、大腸菌株Top10、W3110、CLM24、BL21、SCM6およびSCM7、ならびにサルモネラ菌株SL3261、SL3749およびSL326iδwaaL(Hoiseth, S.K.、およびStocker, B.A. 1981、Aromatic-dependent Salmonella typhimurium are non-virulent and effective as live vaccines、Nature 291 : 238-239を参照)、SL3749(Kaniuk, N.A.、Vinogradov, E.、およびWhitfield, C. 2004、Investigation of the structural requirements in the lipopolysaccharide core acceptor for ligation of O antigens in the genus Salmonella: WaaL "ligase" is not the sole determinant of acceptor specificity、J Biol Chem 279: 36470-36480)からなる群から選択される。]
[0053] 本発明の好ましいタンパク質は、それ自体で、および/または導入したN−グリコシル化部位が原因で、治療的または予防的活性を有し得るため、これらを医薬品の調製に使用することができる。本発明を実施するためのタンパク質の種類は限定されず、したがって、最適化された、N−グリコシル化されたコンセンサス配列が導入された、本発明のタンパク質、たとえば、いくつかを挙げると、EPO、IFN−α、TNFα、IgG、IgM、IgA、インターロイキン、サイトカイン、シー・ジェジュニのタンパク質、たとえば、HisJ(CjO734c)、AcrA(CjO367c)、OmpH1(CjO982c)、ジフテリア毒素(CRM 197)、コレラ毒素、緑膿菌エキソタンパク質などのワクチン接種用のウイルスおよび細菌タンパク質が、医薬品の調製に有用である(Wyszynska, A.、Raczko, A.、Lis, M.、およびJagusztyn-Krynicka, E.K.(2004)、Oral immunization of chickens with avirulent Salmonella vaccine strain carrying C. jejuni 72Dz/92 cjaA gene elicits specific humoral immune response associated with protection against challenge with wild-type Campylovacter、Vaccine 22、1379-1389)。]
[0054] さらに、本発明による核酸および/またはベクターは、医薬品の調製、好ましくは遺伝子治療における使用にも有用である。]
[0055] さらに、本発明による宿主細胞、好ましくは、細菌の外膜中および/またはその上に位置する、本発明のN−グリコシル化された組換えタンパク質を含む表現型を有するもの、好ましくはグラム陰性細菌、より好ましくは上述のグラム陰性細菌のうちの1つが、医薬品の調製に特に有用である。]
[0056] より好ましくは、本発明のタンパク質は、それを必要としている対象に治療的および/または予防的なワクチン接種を行うための、医薬品の調製に使用する。]
[0057] より好ましい実施形態では、本発明は、それを必要としている対象に、好ましくは遺伝子治療によって、治療的および/または予防的なワクチン接種を行うための医薬品を調製するための、本発明による核酸および/またはベクターの使用に関する。]
[0058] 前記N−グリコシル化された組換えタンパク質を表示する本発明の宿主細胞は、表示されたN−グリコシル化タンパク質は宿主細胞の表面上に豊富に存在し、免疫細胞、特にその親水性N−グリカンによって十分に接近可能であるため、また、宿主細胞はアジュバントの追加の効果を有し、生きている場合は、ある程度複製され、そのワクチン接種が増幅され得るため、ワクチンを調製するために特に有用である。]
[0059] 好ましくは、本発明の医薬的態様を実施するための宿主細胞は、弱毒化または死滅させた宿主細胞である。]
[0060] 医薬品、好ましくはワクチンを調製するために本発明の宿主細胞を使用する別の利点は、細胞成分が原因でこれらがIgA抗体を誘導することである。]
[0061] 好ましくは、前記宿主細胞は、本発明に従って、動物、好ましくは哺乳動物、げっ歯類、ヒツジ、ウマ科動物、イヌ科動物、ウシまたはヒトにおいてIgA抗体を誘導するために使用する。ワクチン接種を必要としている前記対象は、トリ、哺乳動物またはサカナ、好ましくは哺乳動物、より好ましくは、畜牛、ヒツジ、ウマ科動物、イヌ、ネコ、およびヒトからなる群から選択される哺乳動物、最も好ましくはヒトである。家禽も好ましい。]
[0062] 本発明のさらなる態様は、本発明による少なくとも1つのタンパク質、少なくとも1つの核酸、少なくとも1つのベクターおよび/または少なくとも1つの宿主細胞を含む薬剤組成物に関する。医薬品の調製は、タンパク質または宿主細胞、好ましくは弱毒化または死滅させた宿主細胞を含み、遺伝子治療のための核酸および/またはベクターを含む医薬品の調製は、当分野で周知である。最終薬剤組成物の調製スキームならびにその投与の様式および詳細は、用いるタンパク質、宿主細胞、核酸および/またはベクターに依存する。]
[0063] 好ましい実施形態では、本発明の薬剤組成物は、製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントを含む。]
[0064] 本発明は、(i)本発明による組換えタンパク質である/それをコードする/それを発現する、組換えタンパク質、宿主細胞、核酸および/または組換えベクター、ならびに(ii)製薬上許容される賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントのうちの少なくとも1つを含む、薬剤組成物を提供する。]
[0065] 適切な賦形剤、希釈剤および/またはアジュバントは当分野で周知である。賦形剤または希釈剤は、活性成分のビヒクルまたは媒体として役割を果たし得る、固体、半固体または液体の物質であり得る。組成物調製分野の当業者は、選択した製品の特定の特徴、治療する疾患または状態、疾患または状態の段階、および他の関連する状況に応じて、投与の適切な形態および様式を容易に選択できるであろう(Remington's Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.(1990))。製薬上許容される希釈剤または賦形剤の割合および性質は、選択した製薬活性のある化合物の溶解度および化学特性、選択した投与経路、および標準の製薬上の実施によって決定される。製薬調製物は、経口、非経口または局在使用に適応させてよく、錠剤、カプセル、坐薬、液剤、懸濁液などの形態で患者に投与し得る。本発明の製薬活性のある化合物は、それ自体で有効である一方で、安定性、結晶化の利便性、溶解度の増加などの目的のために、酸付加塩または塩基付加塩などのその製薬上許容される塩の形態で配合および投与することができる。]
[0066] 本発明のさらなる態様は、
a)
i)カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロン、および
ii)N−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸コンセンサス配列(複数可)D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、Pro以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を1つまたは複数含み、前記N−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸コンセンサス配列(複数可)のうちの少なくとも1つが導入されている、少なくとも1つの組換え標的タンパク質
をコードする核酸を含む、組換え生物、好ましくは原核生物を提供する工程と、
b)標的タンパク質(複数可)の産生およびN−グリコシル化に適した様式で組換え生物を培養する工程と
を含む、N結合グリコシル化されたタンパク質を産生する方法に関する。]
[0067] 好ましくは、標的タンパク質は、本発明による上述した組換えタンパク質のうちの1つである。]
[0068] 本発明の好ましい方法では、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する機能的pglオペロンは、OTaseによって標的タンパク質へと移行させる、脂質担体上でのオリゴ糖のアセンブルのための、
i)カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する組換えOTase、ならびに
ii)カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する、組換えおよび/もしくは天然の特異的グリコシルトランスフェラーゼ、ならびに/または
iii)カンピロバクター属種以外の種に由来する、組換えおよび/もしくは天然の特異的グリコシルトランスフェラーゼ
をコードする核酸を含む。]
[0069] さらに、好ましい実施形態では、本発明は、
i)グラム陰性細菌を提供する工程と、
ii)前記細菌内に、
a)脂質担体上でオリゴ糖をアセンブルさせるための、少なくとも1つの組換え特異的グリコシルトランスフェラーゼ、および/または
b)カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニに由来する、少なくとも1つの組換えオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OTase)、および/または
c)N−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸コンセンサス配列(複数可)D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、Pro以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を1つもしくは複数含み、前記N−グリコシル化された、最適化されたアミノ酸コンセンサス配列(複数可)のうちの少なくとも1つが導入されている、少なくとも1つの組換えタンパク質
をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を導入する工程と、
iii)c)のヌクレオチド配列によってコードされている少なくとも1つの組換えN−グリコシル化タンパク質が、グラム陰性細菌の外膜中および/または外膜上に位置するまで、前記細菌を培養する工程とを含む、
本発明による宿主細胞を調製する方法に関する。]
[0070] 上記の好ましい方法を実施するために、組換え原核生物または宿主細胞は、好ましくは、エシェリキア属種、カンピロバクター属種、サルモネラ属種、赤痢菌属種、ヘリコバクター属種、シュードモナス属種、バチルス属種、好ましくは大腸菌、好ましくは、大腸菌株Top10、W3110、W3110ΔwaaL、BL21、SCM6およびSCM7、ならびにサルモネラ菌株SL3261、SL3749およびSL3261ΔwaaLからなる細菌の群から選択される。]
[0071] 本発明による組換えタンパク質を産生、単離および/または精製するための別の好ましい方法は、
a)宿主細胞を培養する工程と、
b)前記組換えグラム陰性細菌の外膜を除去する工程と、
c)前記組換えタンパク質を回収する工程と
を含む。]
[0072] 細胞、好ましくは原核細胞、より好ましくはグラム陰性細菌細胞の外膜を除去するための例示的な方法は、適切な酵素処理方法、浸透圧ショック洗剤可溶化およびフレンチプレス方法である。]
[0073] 最も好ましくは、本発明は、カンピロバクター属種、好ましくはシー・ジェジュニ以外の種に由来する組換えまたは天然の特異的グリコシルトランスフェラーゼが、前記宿主細胞中で機能的に発現させることができ、細菌、古細菌、および/または真核生物に由来する、グリコシルトランスフェラーゼおよびエピメラーゼの群から選択される方法に関する。]
[0074] バイオコンジュゲートワクチン
本発明の一実施形態は、新規バイオコンジュゲートワクチンを含む。本発明のさらなる実施形態は、免疫原性または抗原性バイオコンジュゲートを直接生成するために組換え細菌細胞を使用する、そのようなバイオコンジュゲートワクチンを生成する新規手法を含む。一実施形態では、バイオコンジュゲートワクチンは、下痢、院内感染および髄膜炎などの細菌病を治療または予防するために使用することができる。さらなる実施形態では、バイオコンジュゲートワクチンは、癌または他の疾患の治療上および/または予防上の潜在性を有し得る。]
[0075] コンジュゲートワクチンは、細菌感染症に対して保護するために小児に投与することができ、成人に持続性の免疫応答をもたらすことができる。本発明のコンストラクトは、動物においてIgG応答を生じることが見出されている。ヒトにおける赤痢菌のO特異的多糖−タンパク質コンジュゲートワクチンに対するIgG応答は、ヒトにおける免疫保護に相関していることが見出されている。(Passwell, J.H.他、Safety and Immunogenicity of Improved Shigella O-Specific Polysaccharide-Protein Conjugate Vaccines in Adults in Israel、Infection and Immunity、69(3):1351-1357(2001年3月))。多糖(すなわち糖残基)が、糖に特異的な短期的な免疫応答を始動すると考えられている。実際、ヒト免疫系は、O抗原および莢膜多糖などの細菌の特異的な多糖表面構造に対して強力な応答を生じる。しかし、多糖に対する免疫応答はIgMに依存するため、免疫系は記憶を生じない。多糖を保有するタンパク質担体はT細胞依存性のIgG応答を始動し、これにより、免疫系が記憶を生じるため持続性の保護がもたらされる。]
[0076] ヒトの典型的なワクチン接種用量は、約1〜25μg、好ましくは約1μg〜約10μg、最も好ましくは約10μgである。任意選択により、本発明のバイオコンジュゲートワクチンなどのワクチンには、アジュバントが含まれる。]
[0077] 多糖(すなわち糖残基)とタンパク質(すなわちタンパク質担体)との合成複合体は、いくつかの細菌感染症に対して保護するコンジュゲートワクチンとして使用することができる。一態様では、本発明は、従来の化学的コンジュゲーション方法を超える利点を提供する免疫原性コンジュゲートワクチンを生成するための、新規バイオ操作手法に関する。一実施形態では、この手法は、細菌細胞、たとえば、大腸菌などのグラム陰性細胞における糖タンパク質のin vivo産生を含む。]
[0078] 様々な多糖の生合成は、細菌細胞中で保存的である。多糖は、定義された特異性を有する様々なグリコシルトランスフェラーゼによって、細胞質膜で、共通の前駆体(活性糖ヌクレオチド)から担体脂質上でアセンブルされる。リポ多糖(LPS)は、グラム陰性細菌、たとえば、赤痢菌属種、シュードモナス属種および大腸菌(ExPEC、EHEC)中でのみ提供される。]
[0079] リポ多糖(LPS)の合成は、単糖を担体脂質ウンデカプレニルホスフェートの膜の細胞質側に付加することから開始される。抗原は、様々なグリコシルトランスフェラーゼによって活性糖ヌクレオチドからの単糖を連続的に付加することによって構築され、脂質結合多糖は、フリッパーゼによって膜を通してフリップされる。抗原反復単位は酵素反応によって重合される。その後、多糖はリガーゼWaaLによって脂質へと移行されてLPSが形成され、これが表面に輸出される一方で、莢膜多糖は、重合後に担体脂質から放出され、表面に輸出される。これらの多糖の生合成経路は、ペリプラズム中の多糖をタンパク質担体で捕捉させて、LPSバイオコンジュゲートのin vivoの生成を可能にする。LPSバイオコンジュゲートなどのバイオコンジュゲートが本発明で好ましい。]
[0080] 図5Aに示すように、グラム陽性およびグラム陰性細菌はどちらも、莢膜多糖に囲まれる細胞膜を有する。グラム陰性細菌は、細胞膜上にさらに外膜を有し、ペリプラズム空間が2つの膜を隔てている。さらに、これらは表面にリポ多糖を含有する。大腸菌などのグラム陰性細菌を用いて本発明のコンジュゲートワクチンを生成する場合、コンジュゲートワクチン中で使用する糖タンパク質は、ペリプラズム空間内でアセンブルされる。] 図5A
[0081] コンジュゲートワクチンは、細菌感染症に対する保護における使用が成功している。多糖はT細胞非依存性抗原であるため、保護的記憶応答には抗原性多糖とタンパク質担体とのコンジュゲーションが必要である。多糖は、多糖およびタンパク質担体中の活性化反応基を用いて、様々な化学的方法によってタンパク質担体とコンジュゲートさせられている。]
[0082] 図6Aは、現在使用されているプロセスと比較した、本発明の技術を用いてコンジュゲートワクチンを生成するプロセスを示す。現在、コンジュゲートワクチンは、上部パネルに模式的に示すように、2回の発酵の実行を用いて、いくつかの精製および化学的切断工程の後に生成されている。この現在の手法にはいくつかの問題がある。第1に、病原性生物の大スケール培養が必要である。第2に、コンジュゲーション手法は多糖に依存する。第3に、この手法の再現性は低い。第4に、この手法は、非特異的なコンジュゲーションが原因で均一性が低い。第5に、この手法は、コンジュゲーション中に多糖が過剰であるために純度が低い。最後に、現在の手法では20%未満の収率しかもたらされない。] 図6A
[0083] 図6Aの下部パネルに示すように、一実施形態では、革新的な本発明の技術は、化学反応を回避し、いくつかの精製工程後に高純度をもたらす、非病原性細胞を用いた完全にin vivoでコンジュゲートワクチン(たとえばバイオコンジュゲートワクチン)を開発するために使用することができる。また、この新規方法は、現在の方法を使用した場合には実現可能でないバイオコンジュゲートワクチンの生成も可能にする。さらに、コンジュゲーションおよび精製プロセスは、使用する多糖抗原に依存しない。その結果、バイオコンジュゲートワクチンは、新規グリカン構造を用いてより速く操作することができる。生じるコンジュゲートの増加した均一性、およびそのようなコンジュゲートの改善された再現性(すなわち、バッチ間の変動なし)により、これが、品質の管理および調節の観点から非常に魅力的なプロセスとなる。さらに、新規方法は良好な収率をもたらす(30〜60mg/Lおよび200mg/Lまで)。] 図6A
[0084] 本発明は、細菌細胞を操作して最終バイオコンジュゲートワクチンを生成することを含む、新規コンジュゲーションプロセスに関する。本発明の一実施形態は、化学的コンジュゲーションを回避し、したがって生成プロセスを単純にする、バイオコンジュゲートワクチンのin vivoの生成を可能にする。この技術には、タンパク質と連結した糖からなる新規バイオコンジュゲートをin vivoで合成するための、新規の遺伝的/酵素的機構が含まれる。]
[0085] 本発明の一態様の根底には、原核生物には珍しい特徴である、カンピロバクター・ジェジュニが一般的なN結合タンパク質グリコシル化系を含有するという発見が含まれる。シー・ジェジュニの様々なタンパク質は、六糖によって修飾されることが示されている。この六糖は、ウンデカプレニルピロリン酸である担体脂質上、内膜の細胞質側で、特異的グリコシルトランスフェラーゼにより触媒されるヌクレオチド活性単糖の段階的な付加によってアセンブルされる。その後、脂質結合オリゴ糖は、フリッパーゼ、たとえばPgIKによって、ペリプラズム空間内にフリップフロップされる(横方向に拡散される)。N結合タンパク質グリコシル化の最終工程では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(たとえばPgIB)が、担体脂質からコンセンサス配列Asp/Glu−Xaa−Asn−Zaa−Ser/Thr(すなわちD/E-X-N-Z-S/T)[式中、XaaおよびZaaは、Pro以外の任意のアミノ酸であり得る]内のAsn残基(図7A)へのオリゴ糖の移行を触媒する。本発明者らは、六糖のグリコシル化クラスターを大腸菌内に移行させることに成功し、カンピロバクターのN結合糖タンパク質を産生させることができた。] 図7A
[0086] 本発明者らは、PgIBが脂質結合糖基質に対して厳密な特異性を有さないことを実証することができた。ウンデカプレニルピロリン酸上でアセンブルされた抗原性多糖はペリプラズム中のPgIBによって捕捉され、タンパク質担体へと移行される(Feldman、2005; Wacker, M.他、Substrate specificity of bacterial oligosaccharyltransferase suggests a common transfer mechanism for the bacterial and eukaryotic systems、Proc Natl Acad Sci U S A、2006. 103(18):ページ7088-93)。また、酵素も、還元末端にN−アセチル化ヘキソサミンを含有する場合は、多様なアレイのウンデカプレニルピロリン酸(UPP)と連結したオリゴ糖を移行させる。PgIBのヌクレオチド配列を配列番号1に提供し、pgIBのアミノ酸配列を配列番号2に示す。]
[0087] 図7Aおよび7Bは、本発明のタンパク質グリコシル化経路(すなわちN-グリコシル化系)の模式図を示す。一実施形態では、シー・ジェジュニのタンパク質グリコシル化経路(たとえばpglオペロンが含まれる)を大腸菌内に導入することができる。図7Aでは、オリゴ糖、特に、5個のN−アセチル−D−ガラクトサミン単位、1個のグルコース単位および1個の2,4−ジアセトアミド−2,4,6−トリデオキシ−D−グルコース単位からなる六糖が、グリコシルトランスフェラーゼ(たとえば、pglA、pglC、pglH、J; I)を用いて、内膜の細胞質側、脂質担体であるウンデカプレニルピロリン酸(UDP)上でアセンブルされ、PgIKと呼ばれるフリッパーゼによってペリプラズム空間へと移行される。それとは別に、らせん状かつコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T(すなわちAsp/Glu-Xaa-Asn-Zaa-Ser/Thr)を含有するものとして表される担体タンパク質が細胞質内で翻訳され、ペリプラズム空間内へと分泌される。最終工程では、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OSTまたはOTase)(たとえばPgIB)が六糖を担体タンパク質のコンセンサス配列内のAsn残基へと移行させ、糖タンパク質が産生される。] 図7A
[0088] また、図7Bも、グリコシルトランスフェラーゼの段階的な作用による多糖(すなわち、抗原性多糖または抗原)の生合成、フリッパーゼによるO抗原のペリプラズムへの移行、続いて、ポリメラーゼ(たとえばwzy)を用いた多糖内への重合を示す。それとは別に、EPAなどの担体タンパク質が産生され、ペリプラズム内へと分泌される。PgIBなどのオリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OSTまたはOTase)は緩和な基質特異性を有し、多糖を脂質担体からEPA内のコンセンサス配列中のAsnへと移行させる。] 図7B
[0089] 図8Aは、本発明のバイオコンジュゲート生成の発現プラットフォームの一実施形態を表す模式図を示す。本発明の技術は、担体タンパク質が、前述のように、コンセンサス配列を含有するか、または含有するように改変されている限りは、様々な既存の担体タンパク質を用いることができるという点で多用途である。具体的には、図8Aは、本発明の一実施形態における操作した細菌大腸菌などの発現宿主の構築を例示している。そのような大腸菌は、グリコシル化系の一般的な構成要素(すなわち、OST/OTase、たとえばPgIB、およびタンパク質担体、たとえばEPA)を含有する。そのような構成要素は、大腸菌株のゲノム内に組み込ませることができる。さらに、リガーゼWaaLおよびWecGを欠失させる。さらに、多糖抗原発現の特定の構成要素(すなわち、たとえば、グリコシルトランスフェラーゼ、ポリメラーゼ、フリッパーゼ、および糖生合成酵素を含有する多糖合成遺伝子クラスター)を、交換可能なプラスミドを追加することによって提供することができる。この構築により、選択した多糖を用いたタンパク質担体のin vivoの特異的グリコシル化が可能となる。] 図8A
[0090] GMPに準拠する細菌バイオコンジュゲートの発現系の一実施形態では、誘導性オリゴサッカリルトランスフェラーゼおよび担体タンパク質をコードするDNAを、抗生物質を選択するための遺伝子を省略することができるように、細菌(たとえば大腸菌)ゲノム内に安定的に組み込ませることができる。たとえば、図5Bに示すように、PgIBおよびEPAをゲノムDNA内に組み込ませる一方で、代替可能な(すなわち交換可能な)プラスミドDNAは多糖合成遺伝子クラスターをコードする。] 図5B
[0091] 別の実施形態では、図8Bは、3つのプラスミドが含まれる細菌バイオコンジュゲートの発現系を示す。第1のプラスミドは、担体タンパク質、たとえば、2つのN−グリコシル化部位を有し、PelBシグナルペプチドによってペリプラズムに向けられる、カンピロバクター・ジェジュニに由来するAcrAをコードする。第2のプラスミドは、OST/OTase、たとえば、膜に結合しているシー・ジェジュニに由来するPgIBをコードする。第3のプラスミドは、たとえば、志賀赤痢菌O1のものなどの多糖(O抗原)合成クラスターをコードする天然プラスミドである。] 図8B
[0092] 一実施形態では、図6Bに示すように、志賀赤痢菌O1抗原などの細菌O抗原の発現プラスミドを、pGVXN64と同様に構築することができる。このプラスミドは、O1血清型を構成する志賀赤痢菌株中の多糖を合成するために必要なすべての酵素をコードする。これらの酵素を図6Bの左側の列に記載する。志賀赤痢菌O1抗原を発現するベクターpGVXN64は、pLARFR1(Vanbleu, E.他、Genetic and physical map of the pLAFR1 vector、DNA Seq. 15(3):225-227(2004))をEcoR1で消化し、続いてオリゴヌクレオチドカセット(5'-AATTCTGCAGGATCCTCTAGAAGCTTGG(配列番号3)および5'-AATTCCAAGCTTCTAGAGGATCCTGCAG(配列番号4)を挿入することによって構築した。その後、志賀赤痢菌O1のrfbおよびrfpクラスターを含有するpSDM7(Falt, I.他、Construction of recombinant aroA salmonellae stably producing the Shigella Dysenteriae serotype 1 O-antigen and structural characterization of the Salmonella/Shigella hybridLPS、Microb. Pathog. 20(1):11-30(1996))のBamH1断片を、BamH1部位を介して、pLAFR1を含有するオリゴヌクレオチドカセット内にクローニングした。pGVXN64プラスミド中に志賀赤痢菌O1抗原をコードする完全なヌクレオチド配列は、以下に提供する配列表の配列番号5に記載する。] 図6B
[0093] 本発明の発現系の宿主生物は、たとえば、大腸菌W31110ΔwaaLなどの大腸菌株であり得る。WaaLの欠失は、どの多糖が脂質A核へと移行されることも防止する。また、WaaL染色体コピーもPgIBによって置き換えることができる。また、この株はwbbL中の突然変異も含有し、したがって、どの大腸菌O16多糖も産生しない。多糖と連結した担体脂質の産生をさらに増加させるために、ECA(エンテロ共通抗原)の形成を防止するためにwecGを欠失させた。]
[0094] 一態様では、本発明はさらに、侵襲性のグラム陰性細菌である1つまたは複数の赤痢菌種に対するバイオコンジュゲートワクチン、好ましくはLPSバイオコンジュゲートワクチンの開発に関する。赤痢菌種は、細菌性赤痢、結腸の重篤な炎症を引き起こす。世界中で毎年1億6500万件の症例があり、そのような症例のうちの70%が5歳未満の小児である。発展途上国では、細菌性赤痢は毎年110万人の死亡を引き起こす。これは糞便−経口経路を介して伝播する重篤な疾患であり、感染性が高い。赤痢菌種に対する免疫処置から利点を受ける潜在的な集団には、たとえば、小児、旅行者および難民収容所にいる人々が含まれる。]
[0095] 4つの異なる赤痢菌の血清型、すなわち、志賀赤痢菌、フレクスナー赤痢菌、ソンネ赤痢菌およびボイド赤痢菌が存在する。本発明の実施形態では、これらの異なる赤痢菌の血清型のそれぞれに対して免疫原性バイオコンジュゲートを作製することができる。たとえば、図14Bは、赤痢菌の様々な血清型およびその抗原性(すなわち赤痢菌O抗原)を定義する多糖構造を提供する。] 図14B
[0096] 本発明のさらなる実施形態では、本明細書中の教示を用いて、(1)緑膿菌などの院内感染を引き起こす細菌、および(2)腸外大腸菌(ExPEC)などの尿路感染症を引き起こす細菌を含めた他の細菌に対する免疫原性LPSバイオコンジュゲートを作製することができる。]
[0097] 一実施形態では、本発明者らは、単純な発酵および精製方法で、遺伝子操作した大腸菌を用いて志賀赤痢菌O1LPSバイオコンジュゲートワクチン(志賀赤痢菌バイオコンジュゲートとも呼ばれる)を開発した。図9は赤痢菌バイオコンジュゲートの生成を示す。上部パネルは、大腸菌におけるバイオコンジュゲートの合成を示す。一実施形態では、志賀赤痢菌O1のO抗原反復単位を担体脂質ウンデカプレニルピロリン酸(UPP)上でアセンブルさせ、ペリプラズム空間にフリップさせ、重合させる。志賀赤痢菌O1の構造は以下のとおりであり、図9の中央右側にも示す:] 図9
[0098] PgIBは、活性多糖をタンパク質担体のAsn残基へと移行させて、赤痢菌バイオコンジュゲートを形成する。タンパク質担体は、たとえば、AcrA、またはタンパク質グリコシル化のコンセンサス配列、すなわちD/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意のアミノ酸であり得る]を含有するように改変されたタンパク質担体であり得る(たとえば改変された緑膿菌外毒素(EPA))。EPAは、コンジュゲートワクチンにおける使用が成功している。]
[0099] 図9に例示される一実施形態では、PgIBおよびO1多糖クラスターの存在下で改変されたEPAを発現する大腸菌細胞のペリプラズムタンパク質を、SDS pageによって分離し、ニトロセルロースに移した後、EPAに対して産生した抗血清を用いてEPAを免疫検出した(レーン2)。レーン1では、PgIBおよびO1多糖クラスターの存在下でカンピロバクターのタンパク質AcrAを発現する大腸菌細胞のペリプラズムタンパク質を分離し、AcrAに対して産生した抗血清を用いて免疫検出した。どちらのタンパク質も、O1多糖クラスターでグリコシル化されていた。図9の最下部パネルでは、大腸菌からのLPSをSDS−PAGEによって分離し、銀染色によって可視化した。左レーンは、WaaLを発現しない株から抽出したLPSを表し、右レーンは、典型的なO1のLPSパターンを示す。どちらの株も、志賀赤痢菌O1の多糖生合成クラスターを発現する。] 図9
[0100] 赤痢菌バイオコンジュゲートなどの細菌バイオコンジュゲートの生成は、図10Aおよび10Bを参照して、一実施形態中にさらに詳細に記載されている。大腸菌などの細菌系を用いて細菌バイオコンジュゲートをアセンブルする前に、図8Aおよび8Bを参照して既に記載したように、細菌系内に、使用する様々な酵素およびタンパク質をコードする特定の遺伝子配列を導入する必要がある。たとえば、これには、OST/OTase、好ましくはシー・ジェジュニに由来するもの(たとえばPgIB)、タンパク質担体(たとえばEPA)および抗原性多糖の合成に向けられた遺伝子クラスター(たとえば、志賀赤痢菌O1多糖を合成するための遺伝子クラスター)が含まれる。] 図10A 図8A
[0101] 図10Aは、細菌バイオコンジュゲートの開発における工程1、すなわち、志賀赤痢菌血清型O1のO抗原などの多糖の生合成を示す。この工程では、抗原を担体脂質ウンデカプレニルピロリン酸(UPP)上で合成し、その後、フリッパーゼを用いてペリプラズム内に移行させる。抗原はポリメラーゼWzyによって重合され、リガーゼWaaLによって脂質A核へと移行させる。多糖をタンパク質担体へと移行させるために、リガーゼをオリゴサッカリルトランスフェラーゼPgIBによって置き換える。] 図10A
[0102] 細菌バイオコンジュゲートの生成における工程2は、適切なタンパク質担体を操作することを含む。有用なタンパク質担体は、好ましくは、特定の免疫学的および薬理学的特長を有するべきである。免疫学的観点からは、タンパク質担体は、好ましくは、(1)T細胞エピトープを有し、(2)抗原を免疫系中の抗原提示細胞(APC)へと送達することができ、(3)強力かつ耐久性があり、(4)抗原に特異的な全身性IgG応答を生じることができるべきである。薬理学的観点からは、タンパク質担体は、好ましくは、(1)無毒性であり、(2)抗原を、インタクトな上皮バリアーを通って効率的に送達することができるべきである。より好ましくは、これらの免疫学的および薬理学的特長に加えて、細菌バイオコンジュゲートの生成に適切なタンパク質担体は、(1)ペリプラズム空間内へと容易に分泌され、(2)ループまたは直鎖配列としてそれ内に容易に導入される抗原エピトープを有することができるべきである。]
[0103] 本発明者らは、遺伝子的に解毒された緑膿菌外毒素(EPA)およびカンピロバクターのタンパク質AcrA、最も好ましくはEPAが、適切なタンパク質担体であることを見出した。AcrAは天然のグリコシル化部位を含有する一方で、EPAは、グリコシル化部位をコードするために改変する必要がある。好ましくは、EPAを改変して、赤痢菌O1抗原に向けられた2つのグリコシル化部位を導入する。より好ましくは、実施例10に記載するように、2つのコンセンサス配列を導入する。]
[0104] 本発明の一実施形態において、2つのグリコシル化部位を含有するように改変したEPAのアミノ酸配列を、以下に提供する配列表の配列番号6(シグナル配列あり)および配列番号7(シグナル配列なし)として示す。配列番号6および配列番号7のそれぞれの中のグリコシル化部位を下線で示す。]
[0105] 図10Bは、細菌バイオコンジュゲートの生成の工程3として、N−グリコシル化部位をその上に設計することができる、EPAなどの担体タンパク質の模式図を示す。N−グリコシル化部位は、既に記述したコンセンサス配列の導入、すなわち、D/E−X−N−Z−S/Tシークオン[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]の挿入を必要とする。本発明者らは、そのようなコンセンサス配列は、好ましくは、表面ループを介して、突然変異ではなく挿入によって導入されることを見出し、N−グリコシル化部位中の作動を最適化するために隣接残基を使用すること検討している。] 図10B
[0106] 図11は、マウスにおいて赤痢菌O1多糖に対する免疫応答を誘発するバイオコンジュゲートを示す。O1−AcrAおよびO1−EPAを親和性カラムおよび陰イオン交換によって精製した。純粋なバイオコンジュゲートをマウス(n=10)に注射した。O1−AcrA(上部)またはO1−EPA(下部)で3回(1、21、60日目)免疫処置したマウスの血清をプールし、70日目に、糖特異的IgG応答についてELISAによって分析した。プレート(Nunc、Polysorb)を志賀赤痢菌O1から単離したLPSでコーティングし、血清および抗マウス多価−HRPと共にインキュベーションした。どちらのコンジュゲートを受けたマウスも多糖に対するIgG応答を発生し、2つのタンパク質担体上にT細胞エピトープが存在することが確認された。] 図11
[0107] 結果として、本発明の細菌バイオコンジュゲートはin vivoの免疫原性を示す。一実施形態では、細菌バイオコンジュゲートは、(1)炭水化物特異的応答、および(2)担体特異的応答または担体タンパク質にかかわらず同様の応答を示すことができる。さらに、IgG特異的応答により、応答の記憶が予測される、免疫応答のT細胞依存性が示された。]
[0108] 図12は、バイオリアクター内での赤痢菌O1バイオコンジュゲート、たとえばO1−EPAの生成を反映する。EPA、PgIBおよびO1多糖を発現する大腸菌細胞を、バイオリアクター内でOD600=40まで、2回の栄養素パルスによって成長させた。PgIBおよびEPAの発現を誘導させ、栄養素を線形供給することによって細胞を終夜成長させた。成長曲線を上部パネルに表す。全細胞抽出物をSDS−PAGEによって分離し、EPAの発現およびグリコシル化を、EPAに対して産生したポリクローナル抗血清を用いた免疫検出によって分析した(下部)。細胞は、EPAを高細胞密度で効率的にグリコシル化した。このプロセスは再現性があり、90の全光学密度(OD)をもたらし、これは、振盪フラスコ培養と比較して45倍の増加である。結果として、流加プロセスを用いてスケールアップが可能である。] 図12
[0109] 図13は、O1−EPAの精製の例を示す。より詳細には、図13は、志賀赤痢菌O1バイオコンジュゲートの分画およびクロマトグラフィー精製を示す。O1−EPAを発現する大腸菌細胞を、バイオリアクター内で高細胞密度まで成長させた(図12を参照)。細胞を遠心分離によってペレット化した、ペリプラズムタンパク質を浸透圧ショックによって抽出した。ペリプラズムタンパク質を陰イオン交換(Source Q)によって分離した。O1−EPAを濃縮した画分を、第2のカラム(フルオロアパタイト)によってさらに精製した。様々な画分をSDS−PAGEによって分離し、タンパク質をクマシーブルーによって可視化した。レーン1は全細胞抽出物を示し、レーン2は浸透圧ショック後のペリプラズムタンパク質を示し、レーン3は陰イオン交換に載せたペリプラズムタンパク質を示し、レーン4および5は陰イオン交換からの溶出液を示し、レーン6は第2の精製カラム後のO1−EPA溶出液を示す。このプロセスにより、大スケールのO1−EPAの精製が可能となる。本実施形態では、精製プロセスは、(1)効率的(培養物中で>10mg/L)、(2)大スケールで可能、および(3)適正製造基準(GMP)に準拠している。そのような精製に従って、グリセロール−LB流加のEPA−O1の収率は200mg/Lまでであり、これは、LB振盪フラスコの収率、0.6mg/Lよりも相当に高かった。] 図12 図13
[0110] 図14Aは、誘導前、誘導の4時間後、ならびに酸素制限状況下で誘導の4時間および19時間後を含めた様々な条件下で採取した、LB振盪フラスコ中で生成したAcrA−赤痢菌O1バイオコンジュゲートの一連の検体のウエスタンブロット分析を示す。抽出および精製後、ペリプラズムタンパク質をSDS−PAGEによって分離した。AcrAおよびAcrA−赤痢菌O1バイオコンジュゲートを、抗AcrA抗体および二次抗体による化学発光検出を用いて検出した。載せた試料を、試料採取時の培養物のOD600に対して正規化した。] 図14A
[0111] 要約すると、一態様では、本発明の技術を用いて、志賀赤痢菌O1感染症に対するワクチンを開発した。たとえば、大腸菌中で志賀赤痢菌O1の多糖をEPAとコンジュゲートさせることができる。EPAは、以前に様々なコンジュゲートワクチンを用いた臨床治験において使用が成功しているため、これは非常に有益である。本発明では、志賀赤痢菌O1バイオコンジュゲートを、バイオリアクター内で、3lのスケールで生成した。細胞を高いODまで成長させ、バイオコンジュゲートを浸透圧ショックによって抽出した。バイオコンジュゲートは、陰イオン交換およびサイズ排除クロマトグラフィーによって98%の純度まで精製した。バイオコンジュゲートを様々なマウス株に注射した。2回および3回の注射後、多糖に対する糖特異的IgG応答が、分析用の志賀赤痢菌O1からLPSを用いて検出された(図11)。予測どおり、LPSを注射した場合に、IgM特異的応答が誘発された。バイオコンジュゲートは、志賀赤痢菌から単離した多糖に対する特異的IgG応答を生じさせた。担体タンパク質と化学的にカップリングさせた対応する糖抗原に対するIgG応答は、ヒトにおける保護に相関していることが示されている。] 図11
[0112] これらの結果は、本発明の大腸菌株が、抗原性赤痢菌ワクチンなどの抗原性細菌ワクチンの潜在的な生成に適切であることを強く示唆している。一実施形態では、EPA−赤痢菌バイオコンジュゲートを、NMR、HPLCおよびMSなどの様々な方法によって集中的に特徴づけた。図15は、本発明の志賀赤痢菌血清型O1バイオコンジュゲートの一例の、1HNMRスペクトルのアノマー領域の拡大を示す。バイオコンジュゲートは、0.15の糖/タンパク質比を含有し、13.2個の抗原の反復単位がタンパク質と連結されており、1〜2個の部位がグリコシル化されていた。2つのグリコシル化のコンセンサス配列をEPA内に導入し、タンパク質の約20%が完全にグリコシル化されていた。多糖は還元末端を介してタンパク質担体と連結しており、したがって、多糖の抗原エピトープは修飾されていない。さらに、in vivoコンジュゲーション方法は、O抗原の反復単位のみをタンパク質に付着させるが、脂質A核の単糖は付着していない。] 図15
[0113] この技術を用いて、免疫原性である細菌バイオコンジュゲートを生成することができる。遺伝子改変を行うことができ、これにより、所望のタンパク質中の所望の位置で細菌多糖のin vivoコンジュゲーションが可能となる。たとえば、一実施形態では、上述のように、志賀赤痢菌O1の抗原性多糖を大腸菌中で発現させ、2つの異なるタンパク質担体(すなわち、EPAおよびAcrA)とin vivoでコンジュゲートさせることができる。どちらのバイオコンジュゲートも、マウス中の多糖に対して特異的なIgG応答を誘発する。別の例として、以下の表1は、タンパク質担体を多糖とコンジュゲートさせるために本発明のin vivo方法に使用することができる、PgIBなどの細菌OST/OTaseの様々な多糖基質を表す。]
[0114] ]
[0115] 以下の表2は、赤痢菌および大腸菌ならびに緑膿菌O11および野兎病菌(Francisella tularensis)の様々な株に関して本発明で利用することができる、さらに追加の様々なLPS多糖基質を表す。]
[0116] ]
[0117] ]
[0118] たとえば、本発明のさらなる実施形態では、大腸菌に対するバイオコンジュゲートワクチンも開発することができる。大腸菌は周知の細菌種である。遺伝的および臨床的な観点から、ヒトにとって生物学的に有意義な大腸菌株は、共生株、腸管病原性株および腸外病原性大腸菌(ExPEC)と広く分類することができる。ExPEC株は正常な腸管内菌叢の一部であることができ、健康な個体の11%で単離される。これらはヒトにおいて胃腸炎を引き起こさず、その主な特長は、腸外部位でコロニー形成し、多様な器官または解剖学的部位において感染を誘導するその能力である。これらは尿路感染症(UTI)の主な原因であり、敗血症、多様な腹部感染症および髄膜炎に関与している。菌血症は、重篤な敗血症の危険性と共に生じる場合がある。ExPECが原因の重篤な敗血症は、2001年の推定41,000件の死亡に関連していた。ExPEC株は抗生物質に感受性であったが、病院および社会のどちらにおいても、ますます多くの抗生物質耐性株が進化している。この抗細菌耐性によりExPEC感染症の管理がより困難となっており、したがって、新しいワクチンが、これらの感染症の予防の代替戦略となる。]
[0119] 動物モデルでは、莢膜、O特異的抗原および様々な外膜タンパク質に対する受動的または能動的な免疫処置により、全身性感染症に対する保護が得られ、これらの様々な抗原を用いた免疫処置が、これらの病原性因子を発現するExPEC株からの尿路感染症に対して保護的である。血清型O4、O6、O14、O22、O75およびO83がUTIの75%を引き起こす。一実施形態では、本発明の新規技術を使用して、1つの抗原(たとえば、主要な血清型の1つである血清型O6)が含まれる一価LPSバイオコンジュゲート、さらにはこれらの6つの抗原が含まれる多価LPSバイオコンジュゲートを開発することができる。たとえば、ExPECのO抗原を合成する酵素をコードする遺伝子クラスターを増幅し、その後、赤痢菌産生株中で発現させることができる。]
[0120] 本発明は、費用効率が高いプロセスにおける工業的スケールの調製に使用することができる、高い潜在的な収量の非常に効率的な生成プロセスを含む。バイオコンジュゲートを生成するための、この新規の費用効率が高いバイオ操作手法は、他のコンジュゲートおよび他の応用に適用することができる。本発明のさらなる特長は、高い再現性およびロットが失敗する危険性の潜在的な低下を有する、細菌ワクチン生成の相当な単純化を含む。]
[0121] コンジュゲートワクチンを製造するプロセス
現在では、生物活性のある特定のバイオコンジュゲートが生成されるように、細菌発現系を操作することが可能である。たとえば、志賀赤痢菌のO特異的多糖を様々なタンパク質担体とコンジュゲートさせ、生じるバイオコンジュゲートは、マウス中の多糖に対する特異的なIgG応答を誘発した。一実施形態では、本発明の技術は、カンピロバクター・ジェジュニのオリゴサッカリルトランスフェラーゼ、たとえばPgIBを利用して細菌多糖(O抗原)をin vivoでカップリングさせ、組換え担体タンパク質を同時発現させて、免疫原性の高いバイオコンジュゲートワクチンをもたらす。]
[0122] 工業的スケールで使用できる生成プロセスが確立されている。これにより、単純な細菌発酵を用いて多数の様々なコンジュゲートワクチンを開発し、製造できるという可能性が開く。このプロセスは、図6Aの上部パネルに表すin vitroコンジュゲーション方法と比較して、いくつかの利点を有する。これは完全なin vivoプロセスであるため、費用および失敗の危険性が顕著に低下し、プロセスはより再現性がある。さらに、コンセンサス捕捉配列により、特定の組み込まれた部位での多糖と定義されたタンパク質とのコンジュゲーションが可能になり、したがって、規制による承認および品質管理が容易になる。最後に、プロセスが単純化されており、生命工学的なツールしか必要としないため、コンジュゲートワクチンの開発がはるかに速い。さらに、in vivoコンジュゲーションプロセスは、多糖の組成が化学的架橋結合を防止する用途に適している。] 図6A
[0123] 一実施形態では、本発明は、細菌における組換えグリコシル化されたタンパク質のスケールアップした産生およびグリコシル化の効率を決定する因子に関する。たとえば、本発明の組換えグリコシル化されたタンパク質は、振盪フラスコプロセスを用いて作製することができる。バイオコンジュゲートは、以前は主にLB振盪フラスコ培養物中で生成されていた。より好ましくは、本発明の一態様では、第1の流加プロセスを、細菌における組換えグリコシル化されたタンパク質の産生に使用することができる。好ましい製造プロセスでは、目的は、グリコシル化効率および細胞1個あたりの組換えタンパク質の収量を維持し、かつプロセスの単純性および再現性を維持する一方で、顕著に増加した最終バイオマス濃度を達成することである。]
[0124] 一実施形態では、本発明の細菌バイオコンジュゲートは、典型的な大腸菌生成プロセスを用いた最適化された製造方法を開発することによって、市販スケールで製造することができる。第1に、バッチ、ケモスタットおよび流加などの様々な種類の供給戦略を使用することができる。第2に、酸素供給を要するプロセスおよび酸素供給を要さないプロセスを使用することができる。第3に、生成物の最大の収量を可能にするために、系内で誘導が起こる様式を変動させることができる。]
[0125] 担体タンパク質の発現とは対照的に、N結合グリコシル化の度合は、栄養素の利用可能性、炭素およびエネルギー源の種類、酸素供給および誘導の時点の変化に強く反応することが見出されている。たとえば、流加プロセスでは、バッチおよび流加培養に誘導剤を加えることにより、すぐに比成長速度の3倍の低下をもたらされ、担体タンパク質および膜結合オリゴサッカリルトランスフェラーゼの合成が原因の高い代謝負担および/またはストレスを示している。誘導後のグリコシル化されていない形態と比較したグリコシル化された担体タンパク質の出現の遅延が再現されるという本発明者らの発見に基づいて、グリコシル化がバイオコンジュゲート生合成の律速的な工程であると考えられると結論づけられた。]
[0126] これらの結果に基づいて、本発明の一実施形態の例では、以下の培養のプロセス設計を開発した:高い細胞密度を達成するための流加培養モード;最大のグリコシル化を促進するための誘導後のインキュベーションの延長;生成プロセスの構成単位の十分な供給を提供するための、誘導までのバイオマス蓄積中の過剰の栄養素供給(たとえば、LB構成要素の酵母抽出物およびトリプトン);ならびに、異化産物抑制およびアセテート形成を防止するための、主な炭素およびエネルギー源としてのグリセロール。このバイオプロセスにより、LBバッチ培養と比較して収量の50倍の増加が可能となり、組換え大腸菌におけるコンジュゲートワクチンの対費用効果の高い生成に向けた道が開かれる。この例では、生成プロセス全体にわたって、たとえば酸素富化通気によって達成する有酸素条件を用いることができるが、低い酸素含有率も実現可能である。実施例9に、流加プロセスのこの例をさらに詳細に記載する。しかし、本発明の細菌LPSバイオコンジュゲートを生成するための他のプロセスも使用し得ることを理解されたい。]
[0127] したがって、本発明の一実施形態では、大腸菌をグリコシル化されたタンパク質のin vivo産生に使用することができ、これはグリコシル化されたタンパク質の工業的生成に適切である。]
[0128] 以下の実施例は、本発明をさらに例示する役割を果たし、いかなる様式でもその範囲を限定することを意図しない。]
[0129] (実施例1)
N−グリコシル化を最適化するためのモデルタンパク質としてのAcrAの選択
N−グリコシル化のアクセプタータンパク質の要件を最適化するために、詳細な研究をシー・ジェジュニ糖タンパク質AcrA(CjO367c)で行った。AcrAは、350個のアミノ酸残基のペリプラズムリポタンパク質である。ペリプラズムへ分泌されるが、脂質に固定されないことが、グリコシル化の必須条件であることが示されている(Nita-Lazar他、2005、上記)。輸出のシグナルは、天然AcrAシグナル配列、または大腸菌中で発現させる場合は異種PelBシグナルであり得る。5つの潜在的なλMinkedグリコシル化シークオン(N117、N123、N147、N273、N274)のうち、同じ2つのものがシー・ジェジュニおよび大腸菌中で使用されている(N123およびN273(Nita-Lazar他、2005、上記))。詳細な構造情報が入手可能なシー・ジェジュニの唯一のペリプラズムN−糖タンパク質ため、AcrAをモデルとして選択した。最近、AcrA相同体である、グラム陰性細菌の緑膿菌に由来するMexA タンパク質の結晶構造が発表された(Higgins他、(2004)、Structure of the periplasmic component of a bacterial drug efflux pump、Proc. Natl. Acad. Sci. U S A 7Of1 9994-9999)。どちらのタンパク質も、いわゆるペリプラズム排出ポンプタンパク質のメンバーである(PEP、(Johnson, J.M.およびChurch, G.M.(1999)、Alignment and structure prediction of divergent protein families: periplasmic and outer membrane proteins of bacterial efflux pumps、J. Mol. Biol. 287、695-715))。伸長した分子は、3つの直線的に配置されたサブドメインを含有する:α−ヘリックス、リポイルドメインの基部で一緒に保たれる逆平行コイルドコイル、およびそれに続く6本鎖β−バレルドメイン。N末端の23〜28個の残基およびC末端の95〜101個の残基は、結晶中で構造化されていない。MexAおよびAcrAのタンパク質配列は、29.3%同一であり、50%類似している。したがって、2つのタンパク質は同様の全体的な折り畳みを示す可能性が高い。]
[0130] (実施例2)
グリコシル化を始動する一次ペプチド配列の解明
緑膿菌のMexAに類似のリポイルドメイン、したがってシー・ジェジュニのAcrA中のものも、大腸菌中で個々に発現させることができるコンパクトなタンパク質を形成することが知られている(Berg, A.、およびde Kok, A.(1997)、2-Oxo acid dehydrogenase multienzyme complexes. The central role of the lipoyl domain、Biol. Chem. 378、617-634によって総説)。どのアクセプターペプチド配列が大腸菌におけるpgl機構によるN−グリコシル化に必要であったかを確認するために、AcrAのリポイルドメインを採った。これは、様々な長さのペプチドをペリプラズムへと輸送し、それをin vivoでpgl機構に提示させるための分子足場として使用された。]
[0131] したがって、リポイルドメイン(Lip)をコードするプラスミドを構築し、OmpAのシグナル配列のN末端(Choi, J.H.、およびLee, S.Y.(2004)、Secretory and extracellular production of recombinant proteins using Escherichia coli、Appl Microbiol Biotechnol 64、625-635)かつヘキサhisタグのC末端に融合させた。遺伝子発現がアラビノースプロモーターの制御下に置かれるようにクローニングを行った。Lipドメイン境界には、MexA中のリポイルドメイン部分のドメイン境界と同じ位置に現れたアミノ酸位置を選択した。様々なペプチドを、N−グリカンを受け入れるその能力について試験するために、配列ストレッチをLipドメインの2つのハンマーヘッド様部分間に挿入した。ストレッチは、シー・ジェジュニのAcrAのN−グリコシル化部位N123を含む配列からなっていた。生じるオープンリーディングフレームは、OmpAシグナル配列、AcrAのN末端ハンマーヘッド様部分(D60〜D95、アミノ酸の番号付けは、成熟AcrAポリペプチド配列の番号付けを参照)、AcrAの天然N123グリコシル化部位を含有する様々なストレッチ(以下参照)、AcrA−LipのC末端ハンマーヘッド様部分(L167〜D210)およびC末端hisタグをコードする配列からなっていた。]
[0132] プラスミドの構築は、標準の分子生物学の技術によって達成した。様々な長さのAcrAの天然N123グリコシル化部位を含有する3つのストレッチを、Lipの2つの半分の間に挿入して、3つの異なるORFがもたらされた。]
[0133] コンストラクトAはA118〜S130を含有し、以下のタンパク質配列がもたらされる:]
[0134] コンストラクトBはF122〜E138を含有し、以下のタンパク質配列がもたらされる:]
[0135] コンストラクトCはD121〜A127を含有し、以下のタンパク質配列がもたらされる:]
[0136] 下線を引いた配列のストレッチはOmpAシグナルペプチドを示し、単一の下線を引いた残基は、クローニングの理由またはタンパク質に分解に対する耐性を与えるために導入した。太字は、AcrAのN123に対応するグリコシル化部位である。斜体はヘキサhisタグである。対応する遺伝子は、プラスミドpEC415(Schulz, H.、Hennecke, H.、およびThony-Meyer, L.(1998)、Prototype of a heme chaperone essential for cytochrome c maturation、Science 281、1197-1200)の主鎖中のアラビノースプロモーターの制御下で発現させた。]
[0137] 3つのストレッチのうちのどれがLipタンパク質のグリコシル化を始動したかを確認するために、タンパク質発現実験を行った。pACYCpglまたはpACYCpglmut(Wacker他、2002、上記)およびコンストラクトA1 BまたはCをコードするプラスミドを保有する大腸菌Top10細胞(Invitrogen、米国カリフォルニア州Carlsbad)を、アンピシリンおよびクロラムフェニコールを含有するLB培地中で、OD0.5まで37℃で成長させた。誘導には、1/1000倍体積のアラビノース20%(w/v)溶液を加え、細胞をさらに2時間成長させた。その後、細胞を遠心分離によって収集し、トリス/HCl20mM、pH8.5、スクロース20%(w/v)、EDTA1mM、PMSF1mM、およびリゾチーム1g/l(w/v)に再懸濁させ、4℃で1時間インキュベーションした。スフェロブラストをペレット化した後にペリプラズム抽出物が得られ、1/9倍体積(v/v)の10×緩衝液A(3MのNaCl、0.5Mのトリス/HCl、pH8.0および0.1Mのイミダゾール)で希釈し、MgSO4を2.5mMまで加えた。Ni−親和性精製を、Amersham Pharmacia Biotech(スウェーデンUppsala)からのNi−セファロースカラム1ml上、緩衝液Aで行った。タンパク質は、イミダゾール0.25Mを含有する緩衝液A中で溶出された。]
[0138] 図1は、Ni−精製したペリプラズム抽出物からのピーク溶出画分の、クマシーブリリアントブルーで染色したSDS−PAGEゲルを示す。発現の分析により、コンストラクトBが顕著な単一のタンパク質種を生じたことが示された(図1、レーン1)。コンストラクトAおよびCはどちらも、顕著なタンパク質に加えて、より遅い電気泳動移動度を有する第2のタンパク質のバンドをもたらした(図1、レーン2および3)。より重いタンパク質種が実際にグリコシル化されていたことは、MALDI−TOF/TOFによって証明した(示さず)。コンストラクトAおよびC中に存在するがBには欠けていた唯一のアミノ酸は、グリコシル化されたN123から位置が2つN末端側のアスパラギン酸残基であるD121であった。これは、D121がOTaseによるグリコシル化に重要な役割を果たすことを実証している。D121がグリコシル化に必須であることを確認するために、コンストラクトCではこれをアラニンに突然変異させた。発現の分析により、1つのタンパク質バンドのみがもたらされ(図1、レーン4)、したがって、D121がグリコシル化に重要であることが示された。さらに、人工ペプチドディスプレイタンパク質がグリコシル化されることができることは、D/E−X−N−Y−S/T型の短いペプチドが、シー・ジェジュニ媒介性のN−グリコシル化が起こるためのすべての情報を含有することを示している。] 図1
[0139] (実施例3)
実施例2の確認;AcrA−D121AはN123でグリコシル化されていない
ペプチドディスプレイ手法からの発見を確認するために、AcrAタンパク質の完全長の可溶性型中に、アスパラギン酸からアラニンへの突然変異を位置121に挿入し(D121A、すなわち、グリコシル化されたN123の2残基前)、N123部位が、それでも大腸菌中でグリコシル化されることができるかどうかを試験した。これを試験するために、AcrA−D121Aを発現させ、そのグリコシル化状態を分析した。分析には、操作したAcrAを使用した。これは、ペリプラズム内への分泌のためにPelBシグナル配列(ChoiおよびLee、2004、上記)を含有し、精製のためにC末端ヘキサhisタグを含有している点で、元のシー・ジェジュニ遺伝子とは異なっていた。このAcrA変異体は、分泌され、シグナルペプチドが切断され、グリコシル化されて、脂質に固定された天然タンパク質となることが示されている(Nita-Lazar他、2005、上記)。可溶性AcrAタンパク質のアミノ酸配列は以下のとおりである。]
[0140] 下線を引いた残基はPelBシグナルペプチドであり、斜体はヘキサhisタグであり、太字はN123およびN273の2つの天然のグリコシル化部位である。pEC415プラスミド(Schulz他、1998)中に上記タンパク質のORFを含有するプラスミドを構築して、pAcrAperを生成した。]
[0141] AcrAおよびその突然変異体(以下参照)のグリコシル化状態を試験するためのアッセイは以下のとおりであった。AcrAの発現は、その活性または失活型のプラスミドの媒介性pglオペロン(pACYCpg/またはpACYCpg/mut、(Wacker他、2002、上記)を参照)およびAcrAをコードするプラスミド(pAcrAper)を含有する、対数成長中の大腸菌CLM24(Feldman他、2005、上記)細胞において、アラビノース0.02%で誘導させた。4時間の誘導後、ペリプラズム抽出物を上述のように調製し、SDS−PAGE、電気移行および抗AcrA抗血清またはR12抗血清のどちらかを用いた免疫検出によって分析した。後者は、シー・ジェジュニのN−グリカンを含有するタンパク質に特異的である(Wacker他、2002、上記)。]
[0142] 図2Aの最初の2つのレーンは、機能的pglオペロンの非存在および存在下におけるAcrAを示す。機能的pglオペロンの非存在下では1つのバンドしか現れていないが、存在下では3つが現れている(図2A、上部パネル)。これらは、グリコシル化されていないAcrA(レーン1)ならびに非、モノおよびジグリコシル化AcrA(レーン2)に対応する。レーン2中の2つのより重いタンパク質がグリコシル化されていたことは、R12ウエスタンブロット(レーン2、下部パネル)によって確認された。突然変異体AcrA−N273Qを同様に発現させた場合は、モノグリコシル化AcrAのみが機能的グリコシル化pglオペロンの存在下で検出された(レーン3)。グリコシル化されていないAcrAが機能的pgl座位の非存在下で検出された(レーン4)。突然変異体AcrA−D121Aの分析では2つのバンドしか生じず、その一方はグリコシル化されており(レーン5)、レーン3のAcrA−N273Qで観察されたものと同様であった。これは、D121が位置123〜125での効率的なグリコシル化に必須であることを意味している。] 図2A
[0143] (実施例4)
AcrA内への人工グリコシル化部位の導入
アスパラギン酸残基の導入によりグリコシル化部位が生じるかどうかを試験するために、可溶性AcrAの位置N117およびN147の使用されていないグリコシル化部位の−2位置にある残基をアスパラギン酸に交換した、AcrA突然変異体を作製した(F115D、T145D)。その後、改変されたグリコシル化部位がグリコシル化されることができるかどうかを、実施例2に記載したものと同じアッセイによって試験した。両方の突然変異を、AcrAの可溶型野生型配列または使用されているグリコシル化部位をどちらも欠失させた二重突然変異体のいずれかに、個別に挿入した(N123QおよびN273Q)。4時間誘導させた培養物のペリプラズム抽出物を調製し、SDS pageによって分離し、ウエスタンブロッティングによって分析した(図2B)。対照として野生型のグリコシル化されたおよびグリコシル化されていないAcrAの試料を同じゲル上に流した(レーン1および2)。T145D突然変異は、天然で使用されていないグリコシル化シークオンN147〜S149の−2位置に影響を与えた。AcrA−T145Dを発現させた際、抗AcrA抗血清を用いたウエスタンブロッティングにより4つのバンドがもたらされ、そのうちの最も高いものは、レーン2の二重にグリコシル化されたタンパク質よりも遅い電気泳動移動度を有していた(図2Bのレーン3)。R12ブロットにより、第4のバンドが三重にグリコシル化されたAcrAであったことが確認された。抗AcrAに対する低い強度にもかかわらず、最も重いバンドはグリコシル化特異的R12抗血清を用いて最も強力なシグナルを生じた。同じ突然変異体AcrA−T145Dを天然N−グリコシル化配列(AcrA-N123Q-N273Q-T145D)の非存在下で発現させた場合、モノグリコシル化AcrAのみが機能的pglオペロンの存在下で検出され(図2B、レーン4)、これは、機能的pglオペロンの非存在下では欠けていた(レーン5)。これにより、レーン4のより重いバンドがグリコシル化されていたことが実証された。したがって、単純にT145D突然変異を導入することによって、最適化されたグリコシル化部位が生じた(DFNNS)。] 図2B
[0144] アスパラギン酸残基を−2位置に挿入することによってグリコシル化部位の導入が可能であることをさらに確認するために、天然の使用されていない部位N117〜S119およびN274〜T276を変化させて、N−グリコシル化を最適化した。この目的のために、さらなる突然変異体を作製した(図2C)。上述した系におけるAcrA−F115D−T145Dの発現により、抗AcrA抗血清で検出された5つのタンパク質種がもたらされた(レーン2)。4つのグリコシル化が同一AcrA分子上で行われていることを示している。検出をシー・ジェジュニのN−グリカンに特異的なR12抗血清で行った場合、5つのバンドのラダーが検出された。最も低いかすかなバンドは、グリコシル化の非存在下でも存在するため(レーン1)、グリコシル化されていないAcrAであり、最も高いものは、恐らくは四重にグリコシル化されたAcrA中の5つの抗原決定基が原因で、強力なシグナルをもたらす。したがって、2つの導入された部位(N117およびN147)ならびに2つの天然の使用されている部位(N123およびN273)が用いられ、pgl機構によってグリコシル化される。pglオペロンを用いたおよび用いない場合のAcrA−N123Q−N273Q−N272Dの発現により、第3の人工的に導入したグリコシル化部位、N274(DNNST)も、pglオペロンによって認識されることが実証された(図2C、レーン3および4)。] 図2C
[0145] 上記実験により、シー・ジェジュニのOTaseによって認識される細菌N−グリコシル化部位は、真核のものと同じコンセンサスから部分的になるが(N-X-S/T、X≠P)、さらに、効率を増加させるために−2位置にアスパラギン酸が必要であるという発見を確認された。さらに、これらは、そのような最適化されたコンセンサス配列を組換えによって導入することによって、タンパク質を所望の部位でグリコシル化することが可能なことを実証している。]
[0146] (実施例5)
最適化されたN−グリコシル化配列中の−1位置の確認
細菌グリコシル化部位の−1位置が真核生物中の+1位置と同じ制限を示すかどうかを試験するために、さらなる実験を行った(Imperiali, B.、およびShannon, K.L.(1991)、Differnces between Asn-Xaa-Thr-containing peptides: a comparison of solution conformation and substrate behavior with oligosaccharyl-transferase、Biochemistry 30、4374-4380; Rudd, P.M.、およびDwek, R.A.(1997)、Glycosylation: heterogeneity and the 3D structure of proteins、Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 32、1-100)。+1のプロリン残基は、グリコシル化が阻害されるようにペプチドを制限すると考えられている。同様の効果も−1位置で観察されるかどうかを試験するために、第2の天然部位をノックアウトした点突然変異体(AcrA-N273Q-F122P)において、第1の天然の使用されている部位の位置にプロリン残基を導入した。AcrA−N273Qの対照発現では、機能的pglオペロンの存在下でモノグリコシル化タンパク質が示された(図2D、レーン1および2)。しかし、AcrA−N273Q−F122Pはグリコシル化されていなかった(図2D、レーン3および4)。これは、プロリンが、アスパラギンと−2位置の負荷電残基との間の残基を構成する場合に、細菌のN−グリコシル化を阻害したことを示す。] 図2D
[0147] シー・ジェジュニのpgl機構によってグリコシル化されることが知られているすべての部位の配列アラインメントから、これらがすべて、−2位置にDまたはEを含むことが示されている(Nita-Lazar他、2005、上記; Wacker他、2002、上記; Young他、(2002)、Structure of the N-linked glycan present on multiple glycoproteins in the Gram-negative bacterium, Campylobacter jejuni、J. Biol. Chem. 277、42530-42539)。したがって、細菌のグリコシル化コンセンサス配列は−2位置の負荷電アミノ酸によって最適化することができ、D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZ≠P]がもたらされることが確立された。]
[0148] (実施例6)
シー・ジェジュニでないタンパク質のN−グリコシル化
一次配列の要件(最適化されたコンセンサス配列)が細菌におけるN−グリコシル化に十分であることを実証するために、シー・ジェジュニでないタンパク質が、上記戦略を適用することによってグリコシル化することができるかどうかを試験した。コレラ毒素Bサブユニット(CtxB)をグリコシル化標的として用いた。対応する遺伝子は、実施例1のコンストラクトA〜Cと同じように、N末端にOmpAシグナル配列およびC末端にヘキサhisタグのコード配列を含有するように、コレラ菌から増幅した。生じるDNAを、実施例1で用いたプラスミド中のコンストラクトAが置き換えられるようにクローニングした。W88からDへの点突然変異、またはW88後のDの挿入により、最適化されたグリコシル化部位が生じた(DNNKT)。シグナル配列およびhisタグを含有する野生型およびW88D CtxBタンパク質を、シー・ジェジュニに由来する機能的pgl座位の存在および非存在下で、大腸菌Top10および他の細胞種中で発現させた。Top10細胞からのペリプラズム抽出物をSDS−PAGE、電気移行および連続してCtxB抗血清を用いた免疫ブロッティングによって分析した場合、CtxB W88Dのみが、pgl座位のバックグラウンドで、より高く、したがってグリコシル化されたバンドを生じた(図2E、レーン3および4を比較)。また、CtxBのG54またはQ56を置き換えることによって、すなわち、CtxBのガングリオシドGM1結合活性に寄与すると報告されているループのうちの1つ中に、コンセンサス配列(DSNIT)を挿入した(後者はCtxB-Q56/DSNITと示される)。図2Eのレーン5および6は、操作したタンパク質(Top10細胞中で発現されたQ56の代わりにペプチド配列DSNITを含有するコンストラクトによって実証される)が、上述のものと同じ方法で分析した場合に、グリコシル化コンピテント細胞中では、より低い移動度を生じ、したがってグリコシル化されたバンドを生じたが、グリコシル化欠損細胞では生じなかったことを実証している。また、2つの操作、すなわち、W88後のDの挿入およびQ56を置き換えるDSNITを含有するCtxBが、SCM7細胞(Alaimo他、EMBO Journal 25: 967-976(2006))において二重にグリコシル化されたことも実証された(パネルE、レーン7および8)。レーン7に示す二重にグリコシル化されたタンパク質CtxBは、Ni2+親和性精製し、標準のプロトコルに従ったゲル内トリプシン化後にESI−MS/MSによって分析した。予測された糖ペプチドが検出され、細菌N−グリコシル化は、細菌N−グリコシル化の本発明による最適化されたコンセンサス配列を変異させるまたは挿入することによって、シー・ジェジュニでないタンパク質にも向けることができることが確認された(示さず)。本発明を実施するための他の適切な例示的な大腸菌株の例は、W3110、CLM24、BL21(Stratagene、米国カリフォルニア州La Jolla)、SCM6およびSCM7である。] 図2E
[0149] 本明細書中で使用するCtxBタンパク質のアミノ酸配列を以下に示す(組換えOmpAシグナル配列に下線を引き、ヘキサhisタグは斜体、W88は太字である)。]
[0150] (実施例7)
シー・ジェジュニの外膜タンパク質、OmpH1内への人工N−グリコシル化部位の導入
細菌中のN−グリコシル化の潜在的な応用は、表現型を遺伝子型に関連づけ、したがって特異的な遺伝子突然変異を選択するために、細菌宿主細胞の表面上にグリカンをディスプレイさせることである。N−グリカンを外膜タンパク質上に提示させることができることを実証するために、OmpH1タンパク質を、複数の本発明による最適化されたコンセンサス部位を含有するように操作した。部位は、既知の結晶構造から推定されたタンパク質のループ領域(Muller, A.、Thomas, G.H.、Horler, R.、Brannigan, J.A.、Blagova, E.、Levdikov, V.M.、Fogg, M.J.、Wilson, K.S.、およびWilkinson, A.J. 2005、AnATP-binding cassette-type cysteine transporter in Campylobacter jejuni inferred from the structure of an extracytoplasmic solute receptor protein、Mol. Microbiol. 57: 143-155)内に操作した。以前の実験により、最良のグリコシル化シークオンが突然変異V83T、K59N−G60I−N61T、R190N−G191I−D192TおよびH263D−F264S−G265N−D266I−D267Tによって作製されたことが示されている。表面ディスプレイには、N−グリカンに最も特異的な試料を確立するために、これらの導入された部位の様々な組合せを評価することが望まれた。組合せは、プラスミドコンストラクトをコードする野生型OmpH1中で作製し、AcrAについて記載したものと同様に試験した。図3は、既存の野生型シークオンに加えて、複数のグリコシル化シークオンを保有する様々なOmpH1変異体の分析を示す。OmpH1変異体は、3つ(レーン3、4、5および7)ならびに4つのグリコシル化シークオン(レーン6)を用いて作製した。1つのグリコシル化シークオンしか有さない野生型OmpH1およびグリコシル化に重大なアスパラギンを欠く突然変異体も試験に含めた。ここで試験したすべての変異体は、高レベルのグリコシル化効率を実証しただけでなく、すべてのグリコシル化シークオンが利用されていたことも実証した。結果は、カンピロバクターのN−グリカンに特異的な免疫血清を用いて確認した(図3、下部パネル)。] 図3
[0151] カンピロバクター・ジェジュニ(株81-176)のOmpH1タンパク質のアミノ酸配列を以下に示し、付着したmycタグを斜体で示す。]
[0152] タンパク質中の天然グリコシル化部位を太字で示し、シグナル配列に下線を引いた。]
[0153] (実施例8)
大腸菌細胞の外膜上のOmpH1上での、シー・ジェジュニに由来するN−グリカンの表面ディスプレイ
複数のグリコシル化されたOmpH1変異体が細菌細胞の表面上にディスプレイされることができるかどうかという質問に答えるために、様々なOmpH1変異体を発現する細菌CLM24またはSCM6(SCM7ΔwaaLである)細胞で免疫蛍光を行った。野生型OmpH1およびグリコシル化に重大なアスパラギンを欠く突然変異体を実験に含めた。さらに、タンパク質をペリプラズム中に保持するためにC20S突然変異体を構築し、これは実験の対照として役割を果たした。パラホルムアルデヒドで処理した細胞で免疫染色を実施した。パラホルムアルデヒドは、細胞の構造または区画化を破壊せずに細胞を固定する。c−MycおよびN−グリカンに特異的な免疫血清を、FITCおよびCy3とコンジュゲートさせた対応する二次抗体と組み合わせて使用して、細菌細胞表面上のタンパク質(赤色蛍光)およびN−グリカン(緑色)をそれぞれ検出した。さらに、細菌細胞および細胞細片を明確に識別するために、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAPI、青色)を用いて、細菌DNAを染色した。野生型OmpH1を発現する細胞を染色した場合、タンパク質およびN−グリカンに特異的な免疫蛍光が検出された(図4A)。重大なアスパラギンN139Sを欠く突然変異体を抗MycおよびN−グリカンに特異的な免疫血清を用いて染色した場合、タンパク質に特異的なシグナルのみが得られ、グリカンに特異的なシグナルは得られず(パネル4B)、これは、N−グリカンに特異的な免疫血清の特異性を示している。C20S突然変異体のようにタンパク質がペリプラズム内に保持されていた場合、タンパク質に特異的な赤色の免疫蛍光は検出されず、抗体が細胞内で拡散することができず、任意の表面現象を検出するために十分に適格であったことを示している(パネル4C)。次に、グリコシル化が異なる複数のOmpH1変異体を発現する細胞を染色した:OmpH1KGN→NIT、HFGDD→DSNIT(パネル4D)、OmpH1RGD→NIT、HFGDD→DSNIT(パネル4E)、OmpH1KGN→NIT、RGD→NIT(パネル4F)、OmpH1V83T、KGN→NIT(パネル4G)およびOmpH1KGN→NIT、RGD→NIT HFGDD→DSNIT(パネル、4H)。すべてのOmpH1変異体が二重染色され、細菌表面上にグリコシル化されたタンパク質が存在することが示された。図4はグレースケールで表し、最初の列は、同じ段の他の写真の合併写真である。] 図4 図4A
[0154] 図4は、様々なOmpH1変異体を発現する細胞の蛍光顕微鏡観察を示す。野生型OmpH1およびその変異体の発現プラスミドを含有する大腸菌株CLM24またはSCM6の培養物を、OD6000.25/mlに同等化した。細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4で2回洗浄し、細胞懸濁液100μlをゼラチン化スライドガラス上に落とし、室温(RT)で30分間、加湿チャンバ内でインキュベーションした。全細胞免疫蛍光標識の続くすべての工程は、室温、加湿チャンバ内で行った。結合していない細胞を除去し、残りを、PBSを含有するパラホルムアルデヒド4%で、30分間RTで固定した。重要なことに、パラホルムアルデヒドは、細胞を透過性にするのではなく、膜による区画化を無傷に保つと考えられている。固定した細胞をPBSで2回洗浄し、PBS中にBSA5%を含有する遮断緩衝液に再懸濁させた。遮断後、細胞を、抗mycモノクローナルマウスIgG(1:50、Calbiochem)および/または抗グリカン抗血清(1:4000)と共に、1時間、BSA5%を含有するPBS100μl中でインキュベーションした。細胞をPBS100μlでそれぞれ5分間、3回洗浄し、FITCとコンジュゲートした二次抗ウサギ抗体(1:250、Jackson Immunoresearch Laboratories)および/またはCy3とコンジュゲートした抗マウス抗体(1:250、Jackson Immunoresearch Laboratories)と共に、1時間、BSA5%を含有するPBS100μl中でインキュベーションした。必要な場合は、細菌DNAを染色するために、4,6−ジアミノ−2−フェニルインドール(DAPI)(Sigma)(0.5μg/ml)を二次抗体インキュベーション時に加えた。二次抗体を細胞からPBS1ですすぎ、vectashield(Vector Laboratories)封入剤を用いることによってカバーガラスをスライド上に装着し、マニキュア液で密封した。蛍光顕微鏡観察は、Axioplan2顕微鏡(Carl Zeiss)を用いることによって行った。Adobe Photoshop、バージョンCS2を用いることによって画像を組み合わせた。OmpH1(パネルA)、OmpH1N139S(パネルB)、OmpH1C20S(パネルC)、OmpH1KGN→NIT、HFGDD→DSNIT(パネルD)、OmpH1RGD→NIT、HFGDD→DSNIT(パネルE)、OmpH1KGN→NIT RGD→NIT(パネルF)、OmpH1V83T、KGN→NIT(パネルG)、およびOmpH1KGN→NIT、RGD→NIT、HFGDD→DSNIT(パネルH)を発現するSCM6細胞である。最初の列は、黒色背景に灰色の色調で表した、列2、3、および4の写真を合併したものである。列2は、DAPI染色からの青色蛍光を灰色の色調で示し、列3は、グリカンに特異的な蛍光からの緑色蛍光であり、列4は、抗myc染色からの赤色蛍光である。] 図4
[0155] (実施例9)
赤痢菌O1LPSバイオコンジュゲートの生成プロセスの例
これは、生成プロセスの一例である。しかし、異なる条件でも同様の生成物の形成がもたらされる。]
[0156] A.生成プロセス
PgIB、EPAおよび赤痢菌O1多糖を生合成するための酵素を発現する3つのプラスミドを含有する大腸菌株W3110ΔwaaLを、LPSバイオコンジュゲートの生成に使用した。単一のコロニーをLB培地50mlに接種し、37℃O/Nで成長させた。培養物を用いて、2lのバイオリアクター中の1lの培養物を接種した。バイオリアクターを500rpmで攪拌し、KOH 2MまたはH3PO4 20%のどちらかの自己制御の添加によってpHを7.0に保ち、培養温度は37℃に設定した。溶存酸素のレベル(pO2)は、酸素0〜10%に保った。細胞を、カナマイシンを含有する半合成グリセロール培地中でOD600=15まで成長させた。培地は以下の成分を含有していた:グリセロール330mM、酵母抽出物10g、トリプトン20g、K2HPO4 34mM、KH2PO4 22mM、(NH4)2SO4 38mM、MgSO4・7H2O 2mMおよびクエン酸5mM。約5時間の初期バッチ期の後、急速なバイオマスの蓄積を維持するために、第1の栄養素パルスを加えた(グリセロール、トリプトンおよび酵母抽出物)。さらに1.5時間後、培養物がOD600=30に達した。この時点で、グリセロールおよびトリプトンの第2の栄養素パルスを、必要な誘導剤L−アラビノース1%およびIPTG 1mMと共に加えた。誘導を最大レベルに維持し、組換えタンパク質合成のためにさらなるアミノ酸を供給するために、このパルスを加えると同時に線形の栄養素/誘導剤の供給(28.8ml/時)を開始した。供給は、プロセスの最後まで維持した。合計約24時間までの培養の後、OD600が±80に達したであろう時にバイオリアクター培養物を収集した。]
权利要求:

請求項1
挿入されたコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含むタンパク質担体と;前記タンパク質担体と連結した、少なくとも1つの細菌に由来する少なくとも1つの抗原性多糖であって、赤痢菌、大腸菌または緑膿菌のうちの1つまたは複数の株に由来する少なくとも1つの細菌O抗原である、少なくとも1つの抗原性多糖と;任意選択によりアジュバントとを含むバイオコンジュゲートワクチン。
請求項2
前記タンパク質担体が、少なくとも1つのコンセンサス配列を含有する改変された緑膿菌外毒素(EPA)である、請求項1に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項3
前記EPAが2つのコンセンサス配列を含有する、請求項2に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項4
前記少なくとも1つの細菌O抗原が志賀赤痢菌O1に由来する、請求項1に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項5
前記少なくとも1つの細菌O抗原が腸外病原性大腸菌(ExPEC)に由来する、請求項1に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項6
前記改変されたEPAが配列番号7に示す配列を有する、請求項2に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項7
前記少なくとも1つの細菌O抗原が、志賀赤痢菌O1、フレクスナー赤痢菌2a、フレクスナー赤痢菌3a、フレクスナー赤痢菌3b、フレクスナー赤痢菌6およびソンネ赤痢菌の1つまたは複数に由来する、請求項1に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項8
前記少なくとも1つの細菌O抗原が、大腸菌O4:K52(ExPEC)、大腸菌O4:K6(ExPEC)、大腸菌O6:K2(ExPEC)、大腸菌O6:K54(ExPEC)、大腸菌O22(ExPEC)、大腸菌O75(ExPEC)、大腸菌O83(ExPEC)、大腸菌O7、大腸菌O9、大腸菌O16、大腸菌O121および大腸菌O157(EHEC)の1つまたは複数に由来する、請求項1に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項9
前記少なくとも1つの細菌O抗原が緑膿菌O11に由来する、請求項1に記載のバイオコンジュゲートワクチン。
請求項10
少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含有するように改変されている緑膿菌外毒素(EPA)を含むタンパク質担体と;前記タンパク質担体と連結しており、以下の構造を有する、少なくとも1つの糖鎖と:任意選択によりアジュバントとを含む赤痢菌バイオコンジュゲートワクチン。
請求項11
前記タンパク質担体が、2つのコンセンサス配列を含有する改変されたEPAである、請求項10に記載の赤痢菌バイオコンジュゲートワクチン。
請求項12
配列番号7に示す配列を有するタンパク質担体と;タンパク質担体と連結しており、以下の構造を有する、少なくとも1つの糖鎖と:アジュバントとを含む志賀赤痢菌O1バイオコンジュゲートワクチン。
請求項13
配列番号5を含むプラスミド。
請求項14
配列番号5を含む遺伝子配列。
請求項15
配列番号6を含むアミノ酸配列。
請求項16
配列番号7を含むアミノ酸配列。
請求項17
ベクターpGVXN64。
請求項18
オリゴサッカリルトランスフェラーゼ(OST/OTase)をコードするヌクレオチド配列と;タンパク質担体をコードするヌクレオチド配列と;抗原性多糖が細菌O抗原である、少なくとも1つの細菌に由来する少なくとも1つの抗原性多糖合成遺伝子クラスターとを含む、少なくとも1つの細菌に対するバイオコンジュゲートワクチンを生成するための発現系。
請求項19
前記OST/OTaseが、配列番号2に示すアミノ酸配列を有する、請求項18に記載の発現系。
請求項20
前記タンパク質担体が、少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含有するように改変されているタンパク質である、請求項18に記載の発現系。
請求項21
前記タンパク質担体が、AcrAと、少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含有するように改変されているEPAとからなる群から選択される、請求項18に記載の発現系。
請求項22
前記ヌクレオチド配列が、配列番号6を含むタンパク質担体をコードする、請求項18に記載の発現系。
請求項23
前記細菌が、赤痢菌、大腸菌、緑膿菌O11または野兎病菌の病原性株からなる群から選択される、請求項18に記載の発現系。
請求項24
配列番号2を有するPgIBをコードするヌクレオチド配列と;配列番号6を有する改変されたEPAをコードするヌクレオチド配列と;配列番号5を含む多糖合成遺伝子クラスターとを含む、志賀赤痢菌O1に対するバイオコンジュゲートワクチンを生成するための発現系。
請求項25
PgIBをコードするヌクレオチド配列および改変されたEPAをコードするヌクレオチド配列が大腸菌ゲノム内に安定的に組み込まれており、多糖合成遺伝子クラスターがプラスミドとして導入されている、請求項24に記載の発現系を含む、改変された細菌。
請求項26
大腸菌である、請求項25に記載の細菌。
請求項27
細菌中で、少なくとも1つのコンセンサス配列D/E−X−N−Z−S/T[式中、XおよびZは、プロリン以外の任意の天然のアミノ酸であり得る]を含む改変されたEPAまたはAcrAと;PgIBと;1つまたは複数のO1多糖とを発現させる工程と;前記細菌を一定期間育成し、一定量の、1つまたは複数のO1多糖と連結したAcrAまたは改変されたEPAを含むO1バイオコンジュゲートを生成させる工程と;ペリプラズムタンパク質を抽出する工程と;抽出した前記ペリプラズムタンパク質から前記O1バイオコンジュゲートを分離する工程とを含む、バイオリアクター内でO1バイオコンジュゲートを生成する方法。
請求項28
グリコシルトランスフェラーゼを使用することによって、組換え生物中で志賀赤痢菌の多糖をアセンブルさせる工程と;前記組換え生物中で、前記多糖を、1つまたは複数のT細胞エピトープを含有する1つまたは複数の標的タンパク質のアスパラギン残基と連結させる工程とを含む、志賀赤痢菌バイオコンジュゲートワクチンを生成する方法。
請求項29
標的タンパク質のN−グリコシル化を実施する代謝装置をコードする遺伝情報を、原核生物内に導入して、改変された原核生物を生成する工程であって、1つまたは複数の組換え標的タンパク質の発現に必要な遺伝情報が、前記原核生物内に導入され、前記代謝装置が、志賀赤痢菌の多糖を脂質担体上でアセンブルするための特異的グリコシルトランスフェラーゼおよびオリゴサッカリルトランスフェラーゼを含み、前記オリゴサッカリルトランスフェラーゼが、前記多糖を前記標的タンパク質のアスパラギン残基と共有結合させ、前記標的タンパク質が、少なくとも1つのT細胞エピトープを含有する工程と;前記改変された原核生物の培養物を生成する工程と;グリコシル化されたタンパク質を培地から得る工程とを含む、志賀赤痢菌バイオコンジュゲートワクチンを生成する方法。
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